リボーン・アートボール


リボーン・アートボール
リボーン・アートボールとはこれまでの事業実績著名人の作品ボール提供企業・チームからのメッセージ

 

リボーン・アートボ―ル作品

 

茨城県では、東京オリンピック・パラリンピックを契機とした文化振興を図るため、茨城独自の文化プログラムを実施し、本県の魅力を国内外に広く発信してきました。
文化プログラムの企画としては、平成29年度に一般公募を行った結果、123件の応募があり、そのなかから4件を事業化したところです。
そのうち「リボーン・アートボール2020展」については、筑波大学の太田教授からご提案いただいたもので、平成30年度から令和3年度まで4年間実施してきました。
「リボーン・アートボール」とは、使い古され捨てられてしまうスポーツ用のボールに絵を描いたり工作をしたりして、アートの力で再生(reborn :リボーン)させるもので、「スポーツ」と「アート」と「リサイクル」を融合させた取り組みです。
取り組みの結果、4年間で約32,000人の参加があり、文化振興を図るとともに、本県の魅力を国内外へ発信することができました。
また、県のきっかけづくりにより、すでに13の市町村等で自主的に取り組んでいるとともに、今後新たな市町村等での実施も予定されており、本事業が確実に広がってきているところです。
今後は、本事業が東京オリンピック・パラリンピックのレガシーとして地域で継続されるように、県が実施している「文化芸術体験出前講座」の1メニューに加えるとともに、実施団体へのワークショップ等運営に関する技術的助言や、県が収集した廃棄ボールの提供などの支援を行っていくこととしています。
ここでは、「リボーン・アートボール2020展」の実績を紹介するとともに、ワークショップ開催ガイドを掲載していることから、これから開催を検討される市町村等の方々の参考にもなれば幸いです。

ワークショップ開催ガイド(PDF)

 

リボーン・アートボールPR動画

ロングバージョン

ショートバージョン

リボーン・アートボール応援動画

いばらき大使・岡部 麟さんからのメッセージ

プロゴルファー・エイミー・コガさんからのメッセージ

プロゴルファー・照山 亜寿美さんからのメッセージ

 

リボーン・アートボールはネクストステージへ

「リボーン・アートボール」は、私が「かつてオリンピックに芸術競技があり、1936年ベルリン大会では二人の日本人画家の銅メダリストがいた」という史実を知ったことから始まりました。さらに「オリンピックはスポーツと文化・芸術が両輪となって開催されるもの」という理念を知り、これらを何らかの方法で学生をはじめ、みなさんに知っていただきたいという思いから発案したアート活動です。
2013年9月、2020年のオリンピック・パラリンピックの開催地が東京に決定しました。これを契機として、2016年に私が代表者となって「芸術・体育領域の融合と共同による2020年オリンピック・パラリンピック東京大会に向けた『スポーツ芸術表現学』創生プログラムの実施」という筑波大学教育戦略推進プロジェクト支援事業を始動させました。このとき掲げていたビジョンは、「オリンピックの文化プログラムにアートで参加すること」でした。2017年、その実現を目指した「スポーツとアートの融合」の実践例として、不要になったボールに絵を描いてアート作品として蘇らせる「リボーン・アートボール」(Reborn art-ball、以下RABと表記)を考案しました。そして私が試作したボール作品を筑波大学内で展示しました。その後、つくば市の関彰商事の「スタジオ’S」での展示とワークショップを皮切りに、日本スポーツ振興財団と連携した東京都・愛媛県・三重県・長野県での展示や、国内各地での自主企画展示、国体の文化プログラムへの参加等へと拡がって行きました。
ワークショップと作品展示からなるRAB事業は、皆さんに知られるようになるにつれて、参加予約が数分で一杯となるようになりました。ワークショップでは、どこの会場でも小学校の授業以上の長時間の集中力や、自由で奇抜な発想に私たちも驚きの連続で思わず笑みをこぼしていましたが、何よりも子どもたちの制作中の真剣な眼差しと完成後の達成感のある笑顔に、このプログラムを企画し実施してきて良かったという私たちの満足感がありました。そして、「世界に一つのボールを作ろう」「ボールには空気ではなく夢が詰まっている」「アーティストとアスリートのリスペクトのパス交換」といった私たちのコンセプトに共感していただいたことも嬉しい成果でした。特にコロナ禍でも何とか開催できたときは、参加した子どもたちや保護者のみなさんから感謝の言葉をたくさんいただきました。
このRAB事業が成功裏に終わった最も大きな要因は、2018年に「茨城県文化プログラム推進事業」に採択されたことにあります。それ以後、茨城県県民生活環境部が主導し、株式会社田中企画と筑波大学の3者がタッグを組んでRAB事業を実施してきました。その結果、2021年の東京オリンピック・パラリンピック文化プログラムに認定され、アートでオリンピックの文化プログラムに参加するという当初の目的を達成することができました。
さてここで、昨今よく耳にするようになった「SDGs」に着目してみます。これは2015年に国連が採択した、2030年までに達成を目指す「持続可能な開発目標」のことで、世界的な貧困・環境破壊・地球温暖化・人種差別・児童労働などの解決すべき問題を含んでいます。このSDGsに設定された17の目標のうち、【目標12:つくる責任 つかう責任】では、不要になったボールの再利用による、リサイクルや資源の循環活用が意識の向上につながります。【目標17:パートナーシップで目標を達成しよう】では、RAB事業が、筑波大学と茨城県や民間企業、小中学校、大学やプロスポーツ団体など、実に多くの方々と協働して「成長」してきたことが、解決方法のヒントとなるでしょう。このほかの、【目標3:すべての人に健康と福祉を】【目標4:質の高い教育をみんなに】【目標5:ジェンダー平等を実現しよう】【目標10:人や国の不平等をなくそう】【目標16:平和と公正をすべての人に】などの目標に対しても、アートとスポーツを「する」「みる」「ささえる」といった立場で考え、それらの「力」を活用するRAB事業は、間接的ではあっても問題解決の糸口となる可能性があると思います。
オリンピック・パラリンピック東京大会が終わり、茨城県はRAB事業をオリ・パラの「レガシー(遺産)」として、これまでとは違う形でサポートしてくださいます。その「ネクストステージ」としてこれから開催されるワークショップで、県内各地のみなさんとお会いできる日を楽しみにしています。改めまして、本事業の実施にご支援ご協力いただいた多くのみなさまに心より感謝申し上げます。

太田圭氏

リボーン・アートボール提唱者
太田 圭(筑波大学名誉教授)

長野県出身 東京藝術大学大学院美術研究科博士後期課程満期退学。
個展、創画展、茨城県展、グループ展等で日本画作品を発表。
日本美術家連盟会員/創画会会友/茨城県美術展覧会委員/日本スポーツ芸術協会理事/筑波大学蹴球部副部長