茨城の民話Webアーカイブ

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文正長者

ブンショウ チョウジャ

伝説

富を得るおはなし|お坊さん、神主さん、小僧が登場するおはなし|めでたしめでたしで終わるおはなし

原文

 鹿嶋市の大野はまなす公園に、昔あったといわれている「文太屋敷跡」の石碑が置かれています。室町時代のお伽草紙の中の最初に「文正(ふんしやう)草紙」という話が出てきます。
 当時は立身出世や目出度い縁起の良い話しとして「縁起物」として語られたようです。現地の屋敷跡に書かれていた看板の内容を簡単に紹介します。

文太長者屋敷跡
 夕日かがやく この岡に 黄金せんばい にせんばい
屋敷の由来
 鹿島大明神宮司の下僕であった文太が下僕をやめて角岡ヶ磯角折の浜に来て塩炊きの家に雇われ薪取りや、塩水汲みの仕事をするようになりました。陰日向無く誰よりも良く働く文太の姿を見ていた主人から褒美に鎌を上げるから自分で塩を作ってみないかと言われ、釜をもらって塩を炊きはじめました。作るからには他の塩に負けない良い塩を作ろうと工夫をこらして作りました。文太の作った塩は、真白で味も良く、その上病気もなおったと大変な評判になりました。そのため塩は作っても作っても間に合いません。雇い人達にもやさしく暖かい言葉をかけていたわったり、一生懸命働きましたのでますます良い塩ができたのです。
 こうして何年も立たないうちに大金持ちになり長者と呼ばれる身になりました。名を文正角岡と改め、何の不自由も無かったのですが何年たっても子供に恵まれませんでした。
 そこで夫婦は鹿島大明神に子どもを授かりますようにとお参りをしました。そのかいがあって、翌年美しい女の子が生まれ、蓮華と名をつけました。その翌年また女の子が生まれました。蓮御前と名をつけ可愛がって育てました。
 姉妹ともに美しく成人しその噂が塩の評判とともに京の都まで届きました。姉の蓮華は関白殿下の二位の中将の妻になり教に上りました。妹の蓮御前は帝の后に迎えられ、都に上りました。
 その後文正夫婦にも京に上るようにとの使いが来ましたので角折をはなれました。
 さて、鹿島灘には釜と名前が付く地名が点在していますがこれはここで塩焼をした釜があったということの名残で、鹿島七釜として知られています。このはまなす公園のある場所は「角折」にあります。角折は常陸国風土記に名前の説明が出てくる古い地名です。

 

市町村 石岡市
原文著者 木村 進
原文著者(ヨミ) キムラ ススム
生年 1948年
原文著者備考 昭和23年 新潟県小千谷市に生まれる
現在 茨城県石岡市在 (株)アルテック 代表
昭和56年 慶応大学工学部大学院(修士)卒
大手電機メーカで設計などに従事、定年退職後ふるさとに眠る埋もれた歴史などを掘り起こし、ブログや書籍で活動をしている。
著書に「ちいきに眠る埋もれた歴史シリーズ」がある。「ふるさと風の会」会員
原文著者 LaLa mosura
原文著者(ヨミ) ララ モスラ
原文著者備考 イラスト 現在 茨城県石岡市 在 中学生 小学6年生の18月からイラストを描き始め、絵はすべてのモノに命があり、土や水にも顔があると考えて描いている。想像の世界のキャラクターたちがカラフルに描かれた独特のイラストが評判を呼び、地元を中心に個展を数回開いている。
媒体 zine
収録資料名 茨城のちょっと面白い昔話
収録資料名(ヨミ) イバラキ ノ チョット オモシロイ ムカシバナシ
収録資料シリーズ名 ふるさと風の文庫
民話ページ P62 〜 P64
収録資料出版社 ふるさと”風”の会
収録資料出版年月日 2016.12.1
言語 日本語
方言 標準語
備考 ¥650
収録資料シリーズ名および収録資料出版社は、標題紙による。
奥付には「風の文庫」「地域に眠る埋もれた歴史シリーズ(別冊9)」とある。

このおはなしが伝えられた地域