残念坂
ザンネンザカ
伝説
殿様や武将が登場するおはなし
原文
府中城は現在の石岡小学校の入口に土塁が残されており、その名残を感じることができますが、三の丸、二の丸、本丸と二重の堀があるとても大きな規模のものでした。本丸のところは山となっており、城中山と呼ばれておりました。現在の若宮八幡宮まえを通り、染谷池袋に通じる途中に残念坂と呼ばれている坂があります。それは、この府中城が落城したときのお話です。
正平年間(1346~1370)大掾詮国により国府の置かれていた場所に府中城が築かれ、難攻不落の城といわれ、長い間、大掾(だいじょう)平氏の城として守られてきました。しかし、天正18年(1590)12月に佐竹義宣に攻められ、城も炎上し、ついに落城してしまいました。
大掾氏最後の城主となった清幹(きよもと)はこの時まだ18歳でした。迫りくる敵の攻撃にもはやこれまでと最後の腹を決めた清幹は馬に飛び乗ると城を後にしたのでした。そして宮部の坂に差し掛かった時、城の方を振り返ると今まで何代にも亘って守り継いできた城が真っ赤な炎を上げて燃えています。清幹はこの燃えるわが城をながめて「嗚呼残念」と慨嘆したといいます。
平国香以来、約600~700年の間続いてきた坂東平氏の棟梁である大掾氏は滅んだのです。
市町村 | 石岡市 |
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原文著者 | 木村 進 |
原文著者(ヨミ) | キムラ ススム |
生年 | 1948年 |
原文著者備考 | 昭和23年 新潟県小千谷市に生まれる 現在 茨城県石岡市在 (株)アルテック 代表 昭和49年 慶応大学工学部大学院(修士)卒 大手電機メーカで設計などに従事、定年退職後ふるさとに眠る埋もれた歴史などを掘り起こし、ブログや書籍で活動をしている。 著書に「ちいきに眠る埋もれた歴史シリーズ」がある。「ふるさと風の会」会員 |
原文著者 | LaLa mosura |
原文著者(ヨミ) | ララ モスラ |
原文著者備考 | イラスト 現在 茨城県石岡市 在 中学生 小学6年生の11月からイラストを描き始め、絵はすべてのモノに命があり、土や水にも顔があると考えて描いている。想像の世界のキャラクターたちがカラフルに描かれた独特のイラストが評判を呼び、地元を中心に個展を数回開いている。 |
媒体 | zine |
収録資料名 | 石岡地方のふるさと昔話 |
収録資料名(ヨミ) | イシオカ チホウ ノ フルサト ムカシバナシ |
収録資料シリーズ名 | ふるさと風の文庫 |
民話ページ | P75 〜 P76 |
収録資料出版社 | ふるさと”風”の会 |
収録資料出版年月日 | 2016.9.1 |
言語 | 日本語 |
方言 | 標準語 |
備考 | ¥750 収録資料シリーズ名および収録資料出版社は、標題紙による。 奥付には「風の文庫」「地域に眠る埋もれた歴史シリーズ(別冊1)」とある。 |
このおはなしが伝えられた地域