茨城の民話Webアーカイブ

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清涼寺の狢(むじな)

セイリョウジ ノ ムジナ

伝説

動物が登場するおはなし|お坊さん、神主さん、小僧が登場するおはなし

原文

 石岡市内の清涼寺に江戸時代末期頃に一匹の古狢が棲んでいました。この古狢は、昼間は寺の境内の竹藪の中にある池の脇にある穴の中にいて、夜になると寺の大きな杉の木に登って、お月様に化けたり、通る人に砂をかけたりするいたずら好きでありました。また、寺の南の長屋に鴉(からす)の鳴きまねが上手な「鴉の長さん」と呼ばれる男が住んでいました。
 ある晩に、この長さんの雨戸をトントンと叩く者があり、長さんが雨戸を開けてみても誰もいなかった。そんなことが幾晩も続き、あまりにしつこいのでこれは寺に棲む狢の仕業だと思い、長さんは黙っていることに決めました。いたずら好きの古狢は、いつものように長さんの戸を叩いたが、長さんの返事がないため面白くなくなりそのまま帰っていきました。
 それから何日かたったある日に、近所の子供たちがこの寺の狢退治をしようと相談をして集まりました。子供たちは、とうがらしに火をつけて煙を狢の棲む穴に流し込みました。そして狢が出てきたら懲らしめてやろうと待ち構えていました。すると寺の本堂の方から大きな声で
「こらー、お前たち。本堂が煙で一杯じゃ。涙とくさみがでてかなわん」
とこわい顔をした方丈さんが現れたので、子供たちは驚いて一斉に逃げ出しました。でもそれ以来、寺の古狢は姿を現さなくなったといいます。
 その時の方丈さんこそ、狢の最後の化け姿であったのではないかと言い伝えられています。

 

市町村 石岡市
原文著者 木村 進
原文著者(ヨミ) キムラ ススム
生年 1948年
原文著者備考 昭和23年 新潟県小千谷市に生まれる
現在 茨城県石岡市在 (株)アルテック 代表
昭和49年 慶応大学工学部大学院(修士)卒
大手電機メーカで設計などに従事、定年退職後ふるさとに眠る埋もれた歴史などを掘り起こし、ブログや書籍で活動をしている。
著書に「ちいきに眠る埋もれた歴史シリーズ」がある。「ふるさと風の会」会員
原文著者 LaLa mosura
原文著者(ヨミ) ララ モスラ
原文著者備考 イラスト 現在 茨城県石岡市 在 中学生 小学6年生の11月からイラストを描き始め、絵はすべてのモノに命があり、土や水にも顔があると考えて描いている。想像の世界のキャラクターたちがカラフルに描かれた独特のイラストが評判を呼び、地元を中心に個展を数回開いている。
媒体 zine
収録資料名 石岡地方のふるさと昔話
収録資料名(ヨミ) イシオカ チホウ ノ フルサト ムカシバナシ
収録資料シリーズ名 ふるさと風の文庫
民話ページ P66 〜 P67
収録資料出版社 ふるさと”風”の会
収録資料出版年月日 2016.9.1
言語 日本語
方言 標準語
備考 ¥750
収録資料シリーズ名および収録資料出版社は、標題紙による。
奥付には「風の文庫」「地域に眠る埋もれた歴史シリーズ(別冊1)」とある。

このおはなしが伝えられた地域