茨城の民話Webアーカイブ

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護身地蔵

ゴミ ジゾウ

伝説

やさしい人が登場するおはなし|神様や仏様が登場するおはなし|神秘的なおはなし

原文

 国道6号線の高浜街道との交差点「貝地(かいじ)」近くに「護身地蔵(ごみじぞう)」がある。この地蔵尊はこの国道ができるまでは高浜街道沿いの所にあった。この地蔵はお参りすると風邪が治るとの噂で参拝客がやってくる。そして願いが叶うと、わらの納豆つっこに、やさいのくずなどのごみを詰めて奉納する習わしがある。これは塵芥(ごみ)と護身(ごみ)のことばが相通じるところからきているのだという。ここには次のような昔話が伝わっている。
 戦国時代に、三村や舟塚山付近の戦いのとき、一人の武士が追手に追われてこの地蔵尊へ逃げ込んできた。しかし、身体はすでに傷だらけで、もう歩く力もほとんどない。もう逃げるところはなく、もうこれまでと武士は覚悟を決めた。その時、突風が起こり、砂塵を巻き上げ、追手の視界を遮った。武士もやっとの事で目を開けると、すぐそばに一人の老婆が立っており、武士を近くの塵芥の山の中へ隠した。
 突風がやみ追手が目を凝らしたが武士はどこにも見えなくなっていた。追手は老婆に「ここへ、武士が来なかったか」と訊ねた。老婆は慌てる風もなく「ここには誰も来ておりません。」と平然とこたえた。その様子に追手も疑うことなくあきらめて行ってしまった。
 追手が見えなくなり、武士が塵芥の山から這いでるともう老婆の姿はどこにもなかった。一命を救われた武士は、この老婆はこの祠の神様に違いないと涙を流して感謝した。そして、数年後に再びこの地を訪れ、感謝の石地蔵を寄進した。

 

市町村 石岡市
原文著者 木村 進
原文著者(ヨミ) キムラ ススム
生年 1948年
原文著者備考 昭和23年 新潟県小千谷市に生まれる
現在 茨城県石岡市在 (株)アルテック 代表
昭和49年 慶応大学工学部大学院(修士)卒
大手電機メーカで設計などに従事、定年退職後ふるさとに眠る埋もれた歴史などを掘り起こし、ブログや書籍で活動をしている。
著書に「ちいきに眠る埋もれた歴史シリーズ」がある。「ふるさと風の会」会員
原文著者 LaLa mosura
原文著者(ヨミ) ララ モスラ
原文著者備考 イラスト 現在 茨城県石岡市 在 中学生 小学6年生の11月からイラストを描き始め、絵はすべてのモノに命があり、土や水にも顔があると考えて描いている。想像の世界のキャラクターたちがカラフルに描かれた独特のイラストが評判を呼び、地元を中心に個展を数回開いている。
媒体 zine
収録資料名 石岡地方のふるさと昔話
収録資料名(ヨミ) イシオカ チホウ ノ フルサト ムカシバナシ
収録資料シリーズ名 ふるさと風の文庫
民話ページ P31 〜 P33
収録資料出版社 ふるさと”風”の会
収録資料出版年月日 2016.9.1
言語 日本語
方言 標準語
備考 ¥750
収録資料シリーズ名および収録資料出版社は、標題紙による。
奥付には「風の文庫」「地域に眠る埋もれた歴史シリーズ(別冊1)」とある。

このおはなしが伝えられた地域