茨城の民話Webアーカイブ

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婆ヶ峰と爺ヶ峰

バアガミネ ト ジジガミネ

伝説

動物が登場するおはなし|いじわるな人が登場するおはなし|神秘的なおはなし

原文

 むかしむかしのことです。石岡が常陸府中(ひたちふちゅう)と呼ばれていた頃、筑波山には多くの巡礼の人びとが登っておりました。
 そんなある日の夕方です。巡礼姿の老夫婦が常陸府中側から山道を登り、筑波の尾根にある峠道を急ぎ足で歩いておりました。もう日が暮れかけており、暗くならないうちに筑波の宿に到着したいと、疲れた足を引きずりながら二人はお互いを励ましあいながら先を急いでいました。するとそこに強そうな追いはぎが現われたのです。
 お爺さんは、荷物やお金をお婆さんに持たせて、先に宿に行くように話し、持っていた杖で追いはぎに向かっていきました。しかし、乱暴ものの追いはぎは大男でとても強く、とうとうお爺さんは殺されてしまいました。お婆さんは先に逃げていたのですが、お爺さんがお金を持っていないと知った追いはぎが、お婆さんの後を追いかけてきました。そして、とうとう一つ先の峰のあたりでつかまり、お婆さんも殺されてしまったのです。
 よく朝になって、麓の村人が二人の変わり果てた姿を発見し、皆で泣いて亡くなった山の近くに二人をねんごろに埋葬して石仏を作り、毎年お彼岸に供養をするようになりました。そして、村人達はこの二人が亡くなった付近の峰を、お婆さんとお爺さんの峰ということで、「婆ヶ峰(ばあがみね)・爺ヶ峰(じじがみね)」と呼ぶようになったそうです。
 さて、それからずいぶんたった頃です。この供養のために立てられた石仏に、子供がなかなか授からずに困っている人がお参りすると、子供が授かるといううわさが広がっていきました。
「この石仏をお借りしてお腹にだいて寝ると子宝に恵まれる。病気の人は元気になる。」
そんな話がいつの間にか広がっていったのです。
 そしてそれから子供に恵まれない多くの人がここを訪れて、子宝に恵まれ、またお礼に訪れるようになりました。今では筑波山をバックに大きな「子授け地蔵」が立っています。

 

市町村 石岡市
原文著者 木村 進
原文著者(ヨミ) キムラ ススム
生年 1948年
原文著者備考 昭和23年 新潟県小千谷市に生まれる
現在 茨城県石岡市在 (株)アルテック 代表
昭和49年 慶応大学工学部大学院(修士)卒
大手電機メーカで設計などに従事、定年退職後ふるさとに眠る埋もれた歴史などを掘り起こし、ブログや書籍で活動をしている。
著書に「ちいきに眠る埋もれた歴史シリーズ」がある。「ふるさと風の会」会員
原文著者 LaLa mosura
原文著者(ヨミ) ララ モスラ
原文著者備考 イラスト 現在 茨城県石岡市 在 中学生 小学6年生の11月からイラストを描き始め、絵はすべてのモノに命があり、土や水にも顔があると考えて描いている。想像の世界のキャラクターたちがカラフルに描かれた独特のイラストが評判を呼び、地元を中心に個展を数回開いている。
媒体 zine
収録資料名 石岡地方のふるさと昔話
収録資料名(ヨミ) イシオカ チホウ ノ フルサト ムカシバナシ
収録資料シリーズ名 ふるさと風の文庫
民話ページ P20 〜 P22
収録資料出版社 ふるさと”風”の会
収録資料出版年月日 2016.9.1
言語 日本語
方言 標準語
備考 ¥750
収録資料シリーズ名および収録資料出版社は、標題紙による。
奥付には「風の文庫」「地域に眠る埋もれた歴史シリーズ(別冊1)」とある。

このおはなしが伝えられた地域