茨城の民話Webアーカイブ

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虚空蔵さまのうなぎ

コクゾウサマ ノ ウナギ

原文

下館市大谷にある大谷寺の境内には虚空蔵さまをお祭りした古いお堂があります。昔からこのあたりの村には、「うなぎを食べると目が兄えなくなる。」という言い伝えがあり、村人たちは決してうなぎを食べませんでした。
うなぎは虚空蔵さまのお使いで、その霊験あらたかなうなぎを食べると罰が当る、と信じていたからです。
魚を捕った時でさえも中に混じったうなぎだけは寺に持って行き、お坊さんに拝んでもらってから寺の池に放すのが習いでした。
昔、この村の農家によその村から婿入りした者がおりました。この婿さまは、うなぎ捕りの名人で、しかもうなぎが大の好物でした。「この村じゃうなぎを食うと目が見えなくなるって止められてるが嘘に決まってる。もし本当なら俺はとうに見えなくなってるはずだ。うなぎが食いてぇ。我慢できねぇ。」そうつぶやくと、家族が止めるのも聞かず、川へうなぎ捕りに出かけてしまいました。
村では誰一人捕る者がいないせいか、大きなうなぎが面白いようにかかり、魚かごはすぐに一杯になりました。帰り道、婿さまが満足顔で虚空蔵さまの前にさしかかった時、突然、かごの中のうなぎが暴れ出したのです。婿さまは必死でかごの口をおさえようとしましたが、うなぎはどんどん外に飛び出し、とうとう一匹残らず寺の池の中に逃げ込んでしまいました。不思議なことに、その間、婿さまの手足は金縛りにあったようにまったく動かず、何もできなかったのです。
さすが、うなぎ好きの婿さまもこれに懲りて、二度とうなぎを食べることはなかったと言うことです。

 

市町村 筑西市
原文著者 染谷 萬千子
原文著者(ヨミ) ソメヤ マチコ
生年 1947年
原文著者備考 1947年茨城県ひたちなか市生まれ
茨城大学教育学部美術科卒
1973年から1999年まで約26年間朝日広告社茨城支局に勤務し、新聞広告他制作を担当。1981年から茨城の自然探訪シリーズ「ふるさとの昔ばなし」を制作。現在も継続中。余暇には、旧姓岩谷萬千子で版画・アクリル画の政策に取り組む。
1977年 日本板画院展新人賞受賞 水戸で第一回個展
1983年 水戸で第二回個展
1990年 いすゞギャラリーで「ふるさとの昔ばなし」版画展
原文著者 茨城いすゞ自動車
原文著者(ヨミ) イバラキ イスズ ジドウシャ
原文著者備考 発行
原文著者 朝日広告社茨城支局
原文著者(ヨミ) アサヒコウコクシャ イバラキシキョク
原文著者備考 企画
媒体 図書
収録資料名 ふるさとの昔ばなし
収録資料名(ヨミ) フルサト ノ ムカシバナシ
収録資料シリーズ名 茨城の自然探訪シリーズ
民話ページ P220 〜 P220
収録資料出版社 茨城いすゞ自動車
収録資料出版年月日 2000.10.31
言語 日本語
方言 標準語
備考 非売品

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