茨城の民話Webアーカイブ

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あわて者のたっつぁい

アワテモノ ノ タッツアイ

原文

ちく(ほら・うそ)の名人、額田のたっつぁいは、あわて者でもあったようです。
たっつぁいは、朝飯前に山に草刈りに行くのを日課としていました。
ある朝、顔を洗いながら「おっかあ、草刈りに行くから馬の支度をしといてくれ。」と言いました。
すると、「戸口の所に繋いでおいたよ。」と、おっかあの声がしました。
たっつぁいは、いつものように、馬の手綱を引いて山道にさしかかりました。
ところが、その朝に限って馬の様子がいつもと違い、すっとついてこないのです。
振り向くと、たっつぁいの引いていたのは、何と、こたつやぐらだったのです。
ぷりぷり怒りながら家に戻ると、馬はちゃんと戸口に繋がれているではありませんか。
「なんてこった。これから山に行ったんじゃ、朝飯前には戻れねえ。おっかあ、握り飯を作ってくれ。」と言いました。
おっかあは、赤ん坊の頭ぐらいの大きな握り飯を作ると、「上がり口に置いたよ。」と声をかけました。
たっつぁいは、それを風呂敷に包み、馬の背中にくくりつけると再び山に向かいました。
やがて、腹も減ってきたので、飯にしようと風呂敷包みを開けてみると、中から出てきたのは漬物石だったのです。
たっつぁいは、ぷんぷん怒りながら戻り、「おっかあ、俺に漬物石を食わせる気か。」とすごい剣幕で怒鳴り付けました。
すると、「たっつぁいさん、お宅はお隣だよ。」と、隣の家のおっかあが言うのです。
こんどは慌てて自分の家に飛び込み、「いやぁ、家を間違えちまってすいませんでした。」と自分のおっかあに謝ったのだそうです。

 

市町村 那珂市
原文著者 染谷 萬千子
原文著者(ヨミ) ソメヤ マチコ
生年 1947年
原文著者備考 1947年茨城県ひたちなか市生まれ
茨城大学教育学部美術科卒
1973年から1999年まで約26年間朝日広告社茨城支局に勤務し、新聞広告他制作を担当。1981年から茨城の自然探訪シリーズ「ふるさとの昔ばなし」を制作。現在も継続中。余暇には、旧姓岩谷萬千子で版画・アクリル画の政策に取り組む。
1977年 日本板画院展新人賞受賞 水戸で第一回個展
1983年 水戸で第二回個展
1990年 いすゞギャラリーで「ふるさとの昔ばなし」版画展
原文著者 茨城いすゞ自動車
原文著者(ヨミ) イバラキ イスズ ジドウシャ
原文著者備考 発行
原文著者 朝日広告社茨城支局
原文著者(ヨミ) アサヒコウコクシャ イバラキシキョク
原文著者備考 企画
媒体 図書
収録資料名 ふるさとの昔ばなし
収録資料名(ヨミ) フルサト ノ ムカシバナシ
収録資料シリーズ名 茨城の自然探訪シリーズ
民話ページ P214 〜 P214
収録資料出版社 茨城いすゞ自動車
収録資料出版年月日 2000.10.31
言語 日本語
方言 標準語
備考 非売品

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