笠師の狐
カサシ ノ キツネ
原文
むかし、土浦に、たいそう狩りの好きなお殿様かおりました。
小春日和の冬のある日、お殿様は、「こんな暖かい日に、城におるのはもったいない。すぐに狩りの支度をせい。」と、お付きの家来に命じました。
そして、さっそくお供の者をつれて、狩りに出かけて行ったのです。
途中、笠師村のお稲荷様の前で一休みしていると、そこへ早馬が土埃をあげながらやってきました。
何事かと思う間もなく、殿様の前に若い侍が進み出、
「殿、大変です。お城が火事です。至急お帰りください。」
と言うやいなや、戻って行ってしまいました。
城の方角に目をやると、空が真赤に見え、確かに火事のようなのです。
驚いた殿様は、急いで城へ戻りました。
ところが、お城に戻ると、火の出た様子などどこにもないのです。
まして、早馬を出した者など誰もおりませんでした。
殿様は、いったい誰が何のためにこのようなことをしたのか調べさせましたが、とうとう判らずじまいでした。
ちょうどその頃、お稲荷様の近くで、狐が子供を産んだばかりだったのです。もしかして、その母狐が子狐を守るために、侍に化けて狩りを止めさせたのかもしれません。
この笠師のお稲荷様は、別名「赤ふんどし稲荷」とも呼ばれています。
市町村 | 土浦市 |
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原文著者 | 染谷 萬千子 |
原文著者(ヨミ) | ソメヤ マチコ |
生年 | 1947年 |
原文著者備考 | 1947年茨城県ひたちなか市生まれ 茨城大学教育学部美術科卒 1973年から1999年まで約26年間朝日広告社茨城支局に勤務し、新聞広告他制作を担当。1981年から茨城の自然探訪シリーズ「ふるさとの昔ばなし」を制作。現在も継続中。余暇には、旧姓岩谷萬千子で版画・アクリル画の政策に取り組む。 1977年 日本板画院展新人賞受賞 水戸で第一回個展 1983年 水戸で第二回個展 1990年 いすゞギャラリーで「ふるさとの昔ばなし」版画展 |
原文著者 | 茨城いすゞ自動車 |
原文著者(ヨミ) | イバラキ イスズ ジドウシャ |
原文著者備考 | 発行 |
原文著者 | 朝日広告社茨城支局 |
原文著者(ヨミ) | アサヒコウコクシャ イバラキシキョク |
原文著者備考 | 企画 |
媒体 | 図書 |
収録資料名 | ふるさとの昔ばなし |
収録資料名(ヨミ) | フルサト ノ ムカシバナシ |
収録資料シリーズ名 | 茨城の自然探訪シリーズ |
民話ページ | P211 〜 P211 |
収録資料出版社 | 茨城いすゞ自動車 |
収録資料出版年月日 | 2000.10.31 |
言語 | 日本語 |
方言 | 標準語 |
備考 | 非売品 |