茨城の民話Webアーカイブ

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中谷原の送り狼

ナカヤハラ ノ オクリオオカミ

原文

もかし額田村(現在の那珂郡那珂町)に水戸徳川家の菩提寺常福寺がありました。
ある日、瓜連村(瓜通町)に住む寺男が、下江戸村(那珂町)の松山寺まで使いに出ましたが、用事を済ませて帰るころには、あたりはすっかり暗くなっていました。
寺の住職が、「中谷原あたりに狼がでると言うから、今夜は当寺に泊まり、明日の朝早く帰ったほうがよい。」と言ったのですが、寺男は、「夜道には馴れていますから大丈夫です。」と寺を後にしました。
住職の奥さんが持たせてくれた折詰と酒を手に、一面ススキとカヤの中谷原を一人歩いているうちに、心細くなってきて、そっと後を振り返りました。
すると、月明りの下に野犬らしき姿が見え、目を凝らして見ると狼のようです。
(これが送り狼か。人の後をついてきて、転ぶと襲いかかると言っていたが………)
寺男は、何とか人家のある飯田まで辿り着かねばと足を速めました。
しばらくすると、狼は二匹になり、そのうちの一匹は足を引きずっておりました。
(もしかしたら、怪我をして餌を見つけられずに腹を空かしているのかもしれない。目当ては、この折詰か……。)
寺男は、道端に折詰を置くと、飯田の一乗院目指して必死で走りました。
その日は一乗院に泊まり、朝早く常福寺に戻りました。
寺男が用事を済ませて瓜連の家に帰った翌朝のこと、戸を開けると熊笹の上に猪の肉が置いてあるではありませんか。
庄屋さんを訪ねていきさつを話すと、「それは、腹を減らしていた狼が、折詰のお礼を持ってきたのではないかな。こういうものは独り占めにしない方がいい。」と言うので、近所の人たちにもごちそうしたと言うことです。

 

市町村 那珂市
原文著者 染谷 萬千子
原文著者(ヨミ) ソメヤ マチコ
生年 1947年
原文著者備考 1947年茨城県ひたちなか市生まれ
茨城大学教育学部美術科卒
1973年から1999年まで約26年間朝日広告社茨城支局に勤務し、新聞広告他制作を担当。1981年から茨城の自然探訪シリーズ「ふるさとの昔ばなし」を制作。現在も継続中。余暇には、旧姓岩谷萬千子で版画・アクリル画の政策に取り組む。
1977年 日本板画院展新人賞受賞 水戸で第一回個展
1983年 水戸で第二回個展
1990年 いすゞギャラリーで「ふるさとの昔ばなし」版画展
原文著者 茨城いすゞ自動車
原文著者(ヨミ) イバラキ イスズ ジドウシャ
原文著者備考 発行
原文著者 朝日広告社茨城支局
原文著者(ヨミ) アサヒコウコクシャ イバラキシキョク
原文著者備考 企画
媒体 図書
収録資料名 ふるさとの昔ばなし
収録資料名(ヨミ) フルサト ノ ムカシバナシ
収録資料シリーズ名 茨城の自然探訪シリーズ
民話ページ P208 〜 P208
収録資料出版社 茨城いすゞ自動車
収録資料出版年月日 2000.10.31
言語 日本語
方言 標準語
備考 非売品

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