茨城の民話Webアーカイブ

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もみじ三夜様の化物

モミジ サンヤサマ ノ バケモノ

原文

西茨城郡岩間町の上安居から東大牧場に行く途中に、もみじ三夜様があります。このあたりは、大きな楓が生い茂り、とても寂しい所でした。
むかし、そのもみじ三夜様に化物が出たのだそうです。
出会った人たちは皆、それは恐ろしい一つ目の大入道だったというのです。
やがて、話は、村中に広まり、暗くなるとそこを通る者は誰もおりませんでした。
ある日のこと、府中に出かけた伊兵衛さんは、思いのほか用事に手間取り、もみじ三夜様あたりまで帰って来た時には、とっぷりと日が暮れておりました。
(弱ったなあ、この道を通らないと帰れないし。化物に出合ったらどうしよう。どうか今夜は出ませんように。)そう念じつつ、恐る恐る、もみじ三夜様の前を通ろうとすると、頭上の楓の木がざわざわと音を立て始めました。
ドキッとして、急いで通り抜けようとしたその時、目の前に一つ目の大入道が立ちふさがっているではありませんか。
「出、出たー。」腰を抜かさんばかりに驚いた伊兵衛さんは、無我夢中で家に駆け戻りました。
家には、近所の人達が集まっており、囲炉裏を囲んでお茶を飲んでいました。
「出たよ、本当に。三夜様のところで化物が出たんだ。」血相を変えて駆け込んできた伊兵衛さんに、近所の人達はびっくり。
皆、化け物の話を詳しく聞こうとするのですが、まだ青ざめていて、息遣いが荒い伊兵衛さんは、まともに答えられません。
すると、その中の一人が後から、「伊兵衛さんよ。その化物はこんな顔をしていなかったかい。」と言うのです。
伊兵衛さんが、振り返ってその顔を見ると、何とさっき出合うた一つ目入道ではありませんか。伊兵衛さん、今度は、その場に気を失って倒れてしまいました。

 

市町村 笠間市
原文著者 染谷 萬千子
原文著者(ヨミ) ソメヤ マチコ
生年 1947年
原文著者備考 1947年茨城県ひたちなか市生まれ
茨城大学教育学部美術科卒
1973年から1999年まで約26年間朝日広告社茨城支局に勤務し、新聞広告他制作を担当。1981年から茨城の自然探訪シリーズ「ふるさとの昔ばなし」を制作。現在も継続中。余暇には、旧姓岩谷萬千子で版画・アクリル画の政策に取り組む。
1977年 日本板画院展新人賞受賞 水戸で第一回個展
1983年 水戸で第二回個展
1990年 いすゞギャラリーで「ふるさとの昔ばなし」版画展
原文著者 茨城いすゞ自動車
原文著者(ヨミ) イバラキ イスズ ジドウシャ
原文著者備考 発行
原文著者 朝日広告社茨城支局
原文著者(ヨミ) アサヒコウコクシャ イバラキシキョク
原文著者備考 企画
媒体 図書
収録資料名 ふるさとの昔ばなし
収録資料名(ヨミ) フルサト ノ ムカシバナシ
収録資料シリーズ名 茨城の自然探訪シリーズ
民話ページ P205 〜 P205
収録資料出版社 茨城いすゞ自動車
収録資料出版年月日 2000.10.31
言語 日本語
方言 標準語
備考 非売品

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