茨城の民話Webアーカイブ

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長者と牛石

チョウジャ ト ウシイシ

原文

むかし、三美村(現在の大宮町)に、清兵衛というたいそう働き者の男かおりました。付人が感心するほどよく働き、やがて「長者」と言われるまでの金持ちになりました。
ところが、清兵衛は長者になるや、家の普請と庭造りという道楽を始めました。くる日もくる日も、大工や左官や庭師を呼んでは、家や庭のあちこちを手直しさせました。近所の人たちがやってきては、「立派な家だ。」、「すごい庭だ。」とほめるので、長者の道楽はとどまるところを知りませんでした。
でも、そのための重い石や大きな木を運ぶのは、長者の家で飼われている年老いた一頭の牛でした。
牛は、毎日毎日、体の力をふりしぼって黙々と働きつづけておりました。ある日のこと、下男があわてた様子で、長者のところへ飛んで来ました。
「旦那さま、大変です。牛が、牛が死にかけています。」
驚いて牛小屋に駆けつけてみた長者は、その小屋のあまりにも粗末な様子に茫然としてしまいました。
牛は、すでに死んでおりました。
それまで牛のことなど、一度も考えたことがなかった長者は、自分の身勝手を心からわび、手厚く葬ってあげました。そして、牛の形をした大きな石を運んできて墓の近くに据え、毎日の供養を欠かしませんでした。
また、その時から、長者は道楽をぴたりと止めてしまいました。
この牛石は、三美から野口(現在の御前山村)へと向かう旧街道わきに、いまでも残っているそうです。

 

市町村 常陸大宮市
原文著者 染谷 萬千子
原文著者(ヨミ) ソメヤ マチコ
生年 1947年
原文著者備考 1947年茨城県ひたちなか市生まれ
茨城大学教育学部美術科卒
1973年から1999年まで約26年間朝日広告社茨城支局に勤務し、新聞広告他制作を担当。1981年から茨城の自然探訪シリーズ「ふるさとの昔ばなし」を制作。現在も継続中。余暇には、旧姓岩谷萬千子で版画・アクリル画の政策に取り組む。
1977年 日本板画院展新人賞受賞 水戸で第一回個展
1983年 水戸で第二回個展
1990年 いすゞギャラリーで「ふるさとの昔ばなし」版画展
原文著者 茨城いすゞ自動車
原文著者(ヨミ) イバラキ イスズ ジドウシャ
原文著者備考 発行
原文著者 朝日広告社茨城支局
原文著者(ヨミ) アサヒコウコクシャ イバラキシキョク
原文著者備考 企画
媒体 図書
収録資料名 ふるさとの昔ばなし
収録資料名(ヨミ) フルサト ノ ムカシバナシ
収録資料シリーズ名 茨城の自然探訪シリーズ
民話ページ P187 〜 P187
収録資料出版社 茨城いすゞ自動車
収録資料出版年月日 2000.10.31
言語 日本語
方言 標準語
備考 非売品

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