茨城の民話Webアーカイブ

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馬を盗んだ猿の話

ウマ オ ヌスンダ サル ノ ハナシ

原文

むかし、県北の山村の小さな寺に、心やさしいお坊さんが、年老いた猿と仲良く暮らしておりました。
お坊さんは、時を惜しんでは、法華経を写しておりましたが、ある日のこと、猿に向かって、「もっともっと写経をせねばならないが、貧しい私には、紙や墨すら買うこともできない。お前が人間だったらなあ。」と、つぶやいたのです。
すると、猿が寂しそうな顔をしたので、「つい、つまらんグチをこぼしてしまった。すまん、すまん。」と、あやまりました。
ところが、次の日、猿は、山一つほ向こうの村へ行くと、大きな農家の馬小屋から白い馬を盗み出し、寺に向かって走り出したのです。
農家の主人は、必死で追いかけましたが、すぐに見失ってしまいました。
そして、道行く人に、馬の行方をたずねながら、やっとの思いで山寺にたどりつきました。
突然、農家の主人に、馬を返してくれといわれたお坊さんはびっくり。
あわてて、寺の裏手にまわると、その主人のいう通り、白い馬がおり、猿が馬草を与えているではありませんか。
(猿は、お金を作ろうと、私のためにこの馬を盗んできたのか。)すべてを察したお坊さんは、農家の主人にわけを話し、あやまりました。
すると、その話を聞いた主人は感動し、「少しでも、お坊様のお仕事の役に立ちたいと思ったのでしょう。感心な猿ではありませんか。どうぞ、この馬を、お仕事の足しにしてください。」と言って、馬をおいて帰った、ということです。
この話は、鎌倉時代の「古今著聞集」という本にある話で、この寺は、北茨城市華川町の浄蓮寺ではないかといわれています。

 

市町村 北茨城市
原文著者 染谷 萬千子
原文著者(ヨミ) ソメヤ マチコ
生年 1947年
原文著者備考 1947年茨城県ひたちなか市生まれ
茨城大学教育学部美術科卒
1973年から1999年まで約26年間朝日広告社茨城支局に勤務し、新聞広告他制作を担当。1981年から茨城の自然探訪シリーズ「ふるさとの昔ばなし」を制作。現在も継続中。余暇には、旧姓岩谷萬千子で版画・アクリル画の政策に取り組む。
1977年 日本板画院展新人賞受賞 水戸で第一回個展
1983年 水戸で第二回個展
1990年 いすゞギャラリーで「ふるさとの昔ばなし」版画展
原文著者 茨城いすゞ自動車
原文著者(ヨミ) イバラキ イスズ ジドウシャ
原文著者備考 発行
原文著者 朝日広告社茨城支局
原文著者(ヨミ) アサヒコウコクシャ イバラキシキョク
原文著者備考 企画
媒体 図書
収録資料名 ふるさとの昔ばなし
収録資料名(ヨミ) フルサト ノ ムカシバナシ
収録資料シリーズ名 茨城の自然探訪シリーズ
民話ページ P184 〜 P184
収録資料出版社 茨城いすゞ自動車
収録資料出版年月日 2000.10.31
言語 日本語
方言 標準語
備考 非売品

このおはなしが伝えられた地域

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