茨城の民話Webアーカイブ

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薬王院の竜

ヤクオウイン ノ リュウ

原文

真壁郡真壁町、筑波山頂に近い椎尾山の中腹に、椎尾山薬王院というお寺があります。
むかし、このお寺の境内に、大きな池があり、たくさんの鯉が飼われていたそうです。
ある日、住職は、その池の鯉が、めっきり減ってしまっているのに気付きました。
毎朝、数えてみるのですが、どうも夜のうちに、一匹ずつ消えているようなのです。
ある晩、住職は、誰が鯉を盗むのか確かめてやろうと、寝ずに見張ることにしました。
夜も更けたころ、時々、木々をゆらす風の音のここちよさに、住職は、つい、うとうととしておりました。
その時、ガサガサという物音に、ハッと顔を上げると、本堂の方に黒い影が走るのが見えました。
驚いた住職が大声をはりあげると、影は、さっと消えてしまったのです。
住職が、急いで本堂に行ってみると、床の上で鯉がはねており、その他には誰も見当りません。
(不思議なことだ。)そう思いつつ、何気なく天井に目をやると、何とそこに描かれた竜の口元がびっしょりと濡れているではありませんか。
(鯉泥棒はこの竜であったか…。)
さっそく住職は、竜の瞳に太い釘を打ち込んでしまいました。
それ以来、池の鯉が減ることはなかったということです。

 

市町村 桜川市
原文著者 染谷 萬千子
原文著者(ヨミ) ソメヤ マチコ
生年 1947年
原文著者備考 1947年茨城県ひたちなか市生まれ
茨城大学教育学部美術科卒
1973年から1999年まで約26年間朝日広告社茨城支局に勤務し、新聞広告他制作を担当。1981年から茨城の自然探訪シリーズ「ふるさとの昔ばなし」を制作。現在も継続中。余暇には、旧姓岩谷萬千子で版画・アクリル画の政策に取り組む。
1977年 日本板画院展新人賞受賞 水戸で第一回個展
1983年 水戸で第二回個展
1990年 いすゞギャラリーで「ふるさとの昔ばなし」版画展
原文著者 茨城いすゞ自動車
原文著者(ヨミ) イバラキ イスズ ジドウシャ
原文著者備考 発行
原文著者 朝日広告社茨城支局
原文著者(ヨミ) アサヒコウコクシャ イバラキシキョク
原文著者備考 企画
媒体 図書
収録資料名 ふるさとの昔ばなし
収録資料名(ヨミ) フルサト ノ ムカシバナシ
収録資料シリーズ名 茨城の自然探訪シリーズ
民話ページ P182 〜 P182
収録資料出版社 茨城いすゞ自動車
収録資料出版年月日 2000.10.31
言語 日本語
方言 標準語
備考 非売品

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