弁慶の足跡
ベンケイ ノ アシアト
原文
むかし源義経は無実の罪を着せられ、兄の源頼朝に追われる身となりました。
追っ手から逃れるため義経は、武蔵坊弁慶を供に、北へ北へと逃げのびて行きました。
ある日、弁慶たちは、腹がさしこんで苦しんでいる老人に出会いました。
弁慶が、持っていた薬をすぐに分けりえたところ、痛みがうそのように消えてしまいました。
老人は、お礼にと弁慶に笛をわたすと、こう言いました。
「もし危険がせまったら、この笛を吹きなさい。あなたを守ってくれるでしょう。」
弁慶は、ありがたく笛を受け取りました。
それからまもなくして、弁慶たちは、とうとう頼朝の追っ手に囲まれてしまいました。
(もう、これまでか……)と覚悟を決めた時、弁慶は老人からもらったあの笛を思い出し、必死の思いで吹いたのでした。
するとどうでしょう。見る見る弁慶の体が大きくなり、手のひらに義経をのせたかと思うと、空高く舞い上がり、追っ手から無事逃れることができたのです。
弁慶が助けた、あの時の老人は「神様」で、心やさしい弁慶を守ってくれたのかも知れません。
弁慶が逃げたその時の足跡が、現在の境町伏木南部にある大照院の池跡と、むかしあったという伏木北部の星智寺の池であると伝えられています。
市町村 | 境町 |
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原文著者 | 染谷 萬千子 |
原文著者(ヨミ) | ソメヤ マチコ |
生年 | 1947年 |
原文著者備考 | 1947年茨城県ひたちなか市生まれ 茨城大学教育学部美術科卒 1973年から1999年まで約26年間朝日広告社茨城支局に勤務し、新聞広告他制作を担当。1981年から茨城の自然探訪シリーズ「ふるさとの昔ばなし」を制作。現在も継続中。余暇には、旧姓岩谷萬千子で版画・アクリル画の政策に取り組む。 1977年 日本板画院展新人賞受賞 水戸で第一回個展 1983年 水戸で第二回個展 1990年 いすゞギャラリーで「ふるさとの昔ばなし」版画展 |
原文著者 | 茨城いすゞ自動車 |
原文著者(ヨミ) | イバラキ イスズ ジドウシャ |
原文著者備考 | 発行 |
原文著者 | 朝日広告社茨城支局 |
原文著者(ヨミ) | アサヒコウコクシャ イバラキシキョク |
原文著者備考 | 企画 |
媒体 | 図書 |
収録資料名 | ふるさとの昔ばなし |
収録資料名(ヨミ) | フルサト ノ ムカシバナシ |
収録資料シリーズ名 | 茨城の自然探訪シリーズ |
民話ページ | P172 〜 P172 |
収録資料出版社 | 茨城いすゞ自動車 |
収録資料出版年月日 | 2000.10.31 |
言語 | 日本語 |
方言 | 標準語 |
備考 | 非売品 |