茨城の民話Webアーカイブ

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糸繰川のカッパ

イトクリガワ ノ カッパ

原文

むかしある川沿いの村にすむ右近という若者が、となり村からの帰り逆、橋の上で見たこともない美しい娘に出会いました。
一目でその娘を好きになってしまった右近は、両親にその娘と結婚したいと相談しました。
それまで、いっこうに結婚しようとしないので、両親も心配はしていたのですが、突然、どこの者ともわからない娘とでは、と反対したのです。
でも、息子の熱心さに根負けし、とうとう結婚を許すことにしました。
嫁になった娘は、美人で気立てもよく、その上、働き者で、一度は反対した親たちも近所に自慢するほどでした。
ところが、その嫁さまには、たった一つ、おかしなくせがあったのです。
家中が寝静まった真夜中になると、きまってどこかへでかけていくのです。
右近は、夜ごと心配がつのりこっそりと後をつけることにしたのですが、いつも、二人が出会った橋のあたりで、見失ってしまうのです。
右近は、ある夜、行く先を確かめたい一心で、嫁さまの着物のすそに糸を結びつけたのです。
嫁さまは、気付かずに、いつものようにでかけていきました。
今夜は、たとえ見失っても、この糸がある。ー右近は、そう思いつつ、そろりそろりとたぐりよせていくと、糸は、川の流れでけずられてできたほら穴に続いていました。
恐る恐る中をのぞいてみると、カッパの母親が子供に乳を飲ませているではありませんか。
嫁さまはカッパだったのです。
この話が広まり、いつしか、この川は糸繰川と呼ばれるようになったということです。

 

市町村 下妻市
原文著者 染谷 萬千子
原文著者(ヨミ) ソメヤ マチコ
生年 1947年
原文著者備考 1947年茨城県ひたちなか市生まれ
茨城大学教育学部美術科卒
1973年から1999年まで約26年間朝日広告社茨城支局に勤務し、新聞広告他制作を担当。1981年から茨城の自然探訪シリーズ「ふるさとの昔ばなし」を制作。現在も継続中。余暇には、旧姓岩谷萬千子で版画・アクリル画の政策に取り組む。
1977年 日本板画院展新人賞受賞 水戸で第一回個展
1983年 水戸で第二回個展
1990年 いすゞギャラリーで「ふるさとの昔ばなし」版画展
原文著者 茨城いすゞ自動車
原文著者(ヨミ) イバラキ イスズ ジドウシャ
原文著者備考 発行
原文著者 朝日広告社茨城支局
原文著者(ヨミ) アサヒコウコクシャ イバラキシキョク
原文著者備考 企画
媒体 図書
収録資料名 ふるさとの昔ばなし
収録資料名(ヨミ) フルサト ノ ムカシバナシ
収録資料シリーズ名 茨城の自然探訪シリーズ
民話ページ P170 〜 P170
収録資料出版社 茨城いすゞ自動車
収録資料出版年月日 2000.10.31
言語 日本語
方言 標準語
備考 非売品

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