茨城の民話Webアーカイブ

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繭玉とお月様

マユダマ ト オツキサマ

原文

陰暦(旧暦)の正月十五日または十四日から十六日までを小正月と言います。
今では少なくなりましたが、小正月には、豊作やその年の幸運を祈る行事が、各地で行われていました。特に十四日に多く、「繭玉」(成木もち、花もち)、「良い耳聞け」、「鳥追い」(ワァホイ)、「ドンドやき」などの行事が行われました。
その繭や米の豊作を祈って飾る「繭玉」にまつわる千代田町のお話です。
むかし、下志筑のある農家で、今年は繭玉祭りをいつもの年よりも盛大にやろうことになりました。そのためには、繭玉も立派でなくてはなりません。
梁につかえるほどの大きな木を切ってきて、数人がかりで枝にびっしりと小さな餅を飾りつけました。
そして、やっとできた繭玉を土間の柱にしばりつけ、眺めてみると薄暗い土間に、ぱっと花が咲いたようです。
見事な出来映えに、みんな大満足—さっそく、ごちそうが並べられ、酒盛りが始まりました。
しばらくして、一人の男が「何だ、ありゃ」と、繭玉の上の方を指差すのです。
見ると、繭玉の木の上に、ぼんやりと光る丸いものが出ているではありませんか。
「あんなところに、お月様が…。」
「お月様なら外にちゃんと出てるよ。ひょっとすると、あいつのしわざかも…。そう言うと、男は土間に降り、ホウキでそのお月様らしきものを思いっきり叩きました。
すると、ドスーンと音をたてて、落ちてきたのは、人きな狸でした。
お月様に見えたのは、何といたずら狸のおなかだったという訳です。

 

市町村 かすみがうら市
原文著者 染谷 萬千子
原文著者(ヨミ) ソメヤ マチコ
生年 1947年
原文著者備考 1947年茨城県ひたちなか市生まれ
茨城大学教育学部美術科卒
1973年から1999年まで約26年間朝日広告社茨城支局に勤務し、新聞広告他制作を担当。1981年から茨城の自然探訪シリーズ「ふるさとの昔ばなし」を制作。現在も継続中。余暇には、旧姓岩谷萬千子で版画・アクリル画の政策に取り組む。
1977年 日本板画院展新人賞受賞 水戸で第一回個展
1983年 水戸で第二回個展
1990年 いすゞギャラリーで「ふるさとの昔ばなし」版画展
原文著者 茨城いすゞ自動車
原文著者(ヨミ) イバラキ イスズ ジドウシャ
原文著者備考 発行
原文著者 朝日広告社茨城支局
原文著者(ヨミ) アサヒコウコクシャ イバラキシキョク
原文著者備考 企画
媒体 図書
収録資料名 ふるさとの昔ばなし
収録資料名(ヨミ) フルサト ノ ムカシバナシ
収録資料シリーズ名 茨城の自然探訪シリーズ
民話ページ P149 〜 P149
収録資料出版社 茨城いすゞ自動車
収録資料出版年月日 2000.10.31
言語 日本語
方言 標準語
備考 非売品

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