茨城の民話Webアーカイブ

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たべた聖天

タベタ セイテン

原文

真壁町塙世の八柱神社は、もとは、真言宗のお寺で、「聖天様」と呼ばれ親しまれていました。それが、明治の初め、ある事情で、寺が無くなり、かわりに八つの神社が合併されて八柱神社となったのです。
そのむかし、このお寺に、お酒の好きな和尚さんがおりました。
一日のおつとめが無事終ると、ご本尊の聖天様に杯をあげ、必ず、「聖天様、どうぞ召し上がり下さい。」と言ってから、お酒を飲んでおりました。
ところが、この寺で修行している小僧も、大の酒好きだったのです。
ある晩、いつものように、町に酒を買いに行った帰り道、なぜかその日に限ってお酒のにおいが気になり、我慢できなくなってしまいました。
(ほんの少しなら、ばれないだろう。それに、今日は、いつもより量が多かったから……)
そう思うと、小僧は、桜川の堤に腰をおろし、笹の葉で杯を作り、和尚さんのまねをして、「聖天様、どうぞ召し上がり下さい。」と言って,から何杯かのお酒を飲み干しました。
ひさしぶりの酒で小僧は、いい気分になってお寺に帰って行きました。
小僧は、和尚さんに気付かれはしないかと心配でしたが、和尚さんはいつものように、聖天様の前に座り、杯をあげました。
小僧がホッと胸をなでおろしていると、奥の方から「たべた聖天、たべた聖天。さっき堤の上で、小僧さんにもらったから、もうたくさん。」という声が聞こえてきたのでした。

 

市町村 桜川市
原文著者 染谷 萬千子
原文著者(ヨミ) ソメヤ マチコ
生年 1947年
原文著者備考 1947年茨城県ひたちなか市生まれ
茨城大学教育学部美術科卒
1973年から1999年まで約26年間朝日広告社茨城支局に勤務し、新聞広告他制作を担当。1981年から茨城の自然探訪シリーズ「ふるさとの昔ばなし」を制作。現在も継続中。余暇には、旧姓岩谷萬千子で版画・アクリル画の政策に取り組む。
1977年 日本板画院展新人賞受賞 水戸で第一回個展
1983年 水戸で第二回個展
1990年 いすゞギャラリーで「ふるさとの昔ばなし」版画展
原文著者 茨城いすゞ自動車
原文著者(ヨミ) イバラキ イスズ ジドウシャ
原文著者備考 発行
原文著者 朝日広告社茨城支局
原文著者(ヨミ) アサヒコウコクシャ イバラキシキョク
原文著者備考 企画
媒体 図書
収録資料名 ふるさとの昔ばなし
収録資料名(ヨミ) フルサト ノ ムカシバナシ
収録資料シリーズ名 茨城の自然探訪シリーズ
民話ページ P139 〜 P139
収録資料出版社 茨城いすゞ自動車
収録資料出版年月日 2000.10.31
言語 日本語
方言 標準語
備考 非売品

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