茨城の民話Webアーカイブ

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船主が沼の主に

フナヌシ ガ ヌマ ノ ヌシ ニ

原文

むかし、大貫(大洗町)の涸沼川をのぞむ山すそに、孫左衛門という男が、年老いた母親と住んでおりました。
ある時、孫左衛門は、北方に漁にでた帰り途、沼の内弁財天(いわき市)にお参りに立ち寄りました。
孫左衛門は、いつかりっぱな船主になって母親を喜ばせたいと思っていたのですが、まちがって「主にして下さい。」とお願いしてしまいました。それを聞いた弁財天は、沼の主のことと思い、孫左衛門を大蛇にしてしまったのです。
しばらくして、人間の姿で家にもどった孫左衛門は、「お母さん、疲れているので少し休みますが、私の寝ているところを決して見ないで下さい。」と念をおして戸をしめきって寝てしまいました。
でも、母親は久し振りに帰ってきた息子のことが気になり、そっとのぞいてみました。
—すると、部屋に寝ていたのは、大蛇だったのです。母親は驚いて声もでませんでした。
母親は何事もなかったようにそ知らぬふりをしていましたが、孫左衛門は、「姿を見られてしまったのですから、もうここにはおれません。せめてお別れに、お母さんが前からお参りにいきたがっていた愛知一の宮の天王様につれていってあげましょう。」そういうと、大蛇の姿になり、母親を背に、天高く舞い上がったのです。雲の上をぬけると、あっという間に一の宮に着き、お参りをすませた母親を家にもどすと、沼の内に帰っていってしまったのだそうです。

 

市町村 大洗町
原文著者 染谷 萬千子
原文著者(ヨミ) ソメヤ マチコ
生年 1947年
原文著者備考 1947年茨城県ひたちなか市生まれ
茨城大学教育学部美術科卒
1973年から1999年まで約26年間朝日広告社茨城支局に勤務し、新聞広告他制作を担当。1981年から茨城の自然探訪シリーズ「ふるさとの昔ばなし」を制作。現在も継続中。余暇には、旧姓岩谷萬千子で版画・アクリル画の政策に取り組む。
1977年 日本板画院展新人賞受賞 水戸で第一回個展
1983年 水戸で第二回個展
1990年 いすゞギャラリーで「ふるさとの昔ばなし」版画展
原文著者 茨城いすゞ自動車
原文著者(ヨミ) イバラキ イスズ ジドウシャ
原文著者備考 発行
原文著者 朝日広告社茨城支局
原文著者(ヨミ) アサヒコウコクシャ イバラキシキョク
原文著者備考 企画
媒体 図書
収録資料名 ふるさとの昔ばなし
収録資料名(ヨミ) フルサト ノ ムカシバナシ
収録資料シリーズ名 茨城の自然探訪シリーズ
民話ページ P123 〜 P123
収録資料出版社 茨城いすゞ自動車
収録資料出版年月日 2000.10.31
言語 日本語
方言 標準語
備考 非売品

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