金砂神社は、水府村の東金砂神社と金砂郷村の西金砂神社の二ヵ所にあります。
七年目ごとに小祭礼が、そして七十二年に一度大祭礼が行われ、この時は田楽舞を奉納する習わしになっています。むかし、田楽の修業場は、東金砂の山中にありました。
ある日、山に練習に出かけた村の子供が天狗にさらわれ、行方がわからなくなってしまいました。
子供はとうとうみつからず、村人たちは、東金砂山にすむ天地坊という天狗のしわざにちがいないとうわさしました。天地坊は、それまでにも山に登ってくる人に、たびたび害を加え、村人たちにおそれられていたのです。
そこで、東金砂神社のお坊さんが、もうこれ以上、村人に災難がふりかかってはいけないとお祈りを続けて天地坊を静め、行方不明になった子供のために童塚をたてました。
やがて、山中は平静をとりもどしましたが、それ以来、田楽の練習は中染（水府村）で行われるようになったのだそうです。