むかし、たいそういたずら好きのかみなり様がおりました。
かみなり様は、雲の上から、人間の住む下界を見るのが大好きでした。
かみなり様が「ドンドンドン…」と太鼓をたたくと、地上の人間たちが、右へ左へとおもしろいように動きまわるからです。
ある時、かみなり様は太鼓をたたくのに夢中になり、身を乗り出しすぎて地上に落ちてしまいました。
すぐにも天に駆けのぼらなくてはとあわてたかみなり様は、太鼓をたたく石のバチを地上に置き忘れてしまったのです。
しばらくののち、そこへ遊びにきた子供が、草むらにある不思議な石の棒を見つけました。重すぎて自分では動かせず親をよんでくると、
「何だろう、これは。そういえば、この前、このあたりにかみなり様が落ちたなあ。かみなり様が太鼓をたたくバチじゃねえか。」という話になりました。
それ以来、棒は「かみなり棒」と呼ばれるようになり、今も普賢院に納められているそうです。