むかし、源義家が軍を率いて水原の里（現在の潮来町水原）まで来て、そこから鹿島の里へ渡ろうとしました。
ところが強風が吹きあれ、義家一行は何日も足留めを食うことになってしまいました。
困り果てた義家は、深く信仰している守り本尊の如意輪観音に願をかけることにしました。
義家は冷水をあびては体を清めつつ、七日七夜、一心に祈り続けました。
義家の願いが通じたのか、満願の日に風は静まり、一行は無事、鹿島の里へ渡れることになったのです。
義家は、出発の際、世話になった農家の主人に、お礼として一寸八分（約5.5センチメートル）の観音像をおいて立ちさりました。
その後、里の人たちは、お堂を建て、その観音像をご本尊として大切におまつりしたのだそうです。
これは、愛染院という真言宗のお寺に伝わるお話です。