立切池の大うなぎ
タチキリイケ ノ オオウナギ
原文
むかし、釜井村(現在の東村釜井)に、長兵衛という弓のたいそう上手なお百姓さんがおりました。野良仕事に行くにも弓矢をもってでかけ、鳥や小さなけものなどを射止めておりました。ある日、近くの立切池のそばを通りかかると、水面が大きくゆれ、黒いかげがゆったりと動いていくのが見えました。
(こいではなさそうだが、いったい何だろう。)そう思って目をこらしてみると、それは今まで見たこともないほどの大きなうなぎだったのです。長兵衛は、とっさに、うなぎの頭にねらいをつけると、さっと矢をはなちました。矢は見事に命中し、うなぎの片目につきささりました。
長兵衛は、大うなぎを家にもち帰ると、さっそく近所の人をよんで焼いて食べることにしました。ところが、さこうとしても包丁が入りません。しかたなく、丸ごと焼こうとしましたが、こんどは、いくら火を強くしても火が通らないのです。みんな気味が悪くなってしまいました。
「ひょっとすると、このうなぎは、立切池の主かもしれないぞ。たたりがあったらたいへんだ。」
あわてた村人たちは、すぐにうなぎを池にもどしました。
すると、ぐったりしていたうなぎは、不安げに見つめる人々を尻目に、池の奥深くへ泳ぎ去りました。それ以来、立切池にすむうなぎは、みんな片目がつぶれていたということです。
市町村 | 稲敷市 |
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原文著者 | 染谷 萬千子 |
原文著者(ヨミ) | ソメヤ マチコ |
生年 | 1947年 |
原文著者備考 | 1947年茨城県ひたちなか市生まれ 茨城大学教育学部美術科卒 1973年から1999年まで約26年間朝日広告社茨城支局に勤務し、新聞広告他制作を担当。1981年から茨城の自然探訪シリーズ「ふるさとの昔ばなし」を制作。現在も継続中。余暇には、旧姓岩谷萬千子で版画・アクリル画の政策に取り組む。 1977年 日本板画院展新人賞受賞 水戸で第一回個展 1983年 水戸で第二回個展 1990年 いすゞギャラリーで「ふるさとの昔ばなし」版画展 |
原文著者 | 茨城いすゞ自動車 |
原文著者(ヨミ) | イバラキ イスズ ジドウシャ |
原文著者備考 | 発行 |
原文著者 | 朝日広告社茨城支局 |
原文著者(ヨミ) | アサヒコウコクシャ イバラキシキョク |
原文著者備考 | 企画 |
媒体 | 図書 |
収録資料名 | ふるさとの昔ばなし |
収録資料名(ヨミ) | フルサト ノ ムカシバナシ |
収録資料シリーズ名 | 茨城の自然探訪シリーズ |
民話ページ | P86 〜 P86 |
収録資料出版社 | 茨城いすゞ自動車 |
収録資料出版年月日 | 2000.10.31 |
言語 | 日本語 |
方言 | 標準語 |
備考 | 非売品 |