茨城の民話Webアーカイブ

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願掛木

ガンカケ ギ

原文

むかし、陸奥国(現在の青森県)小左井村の伊勢屋与兵衛という人の持船が、村松沖にさしかかった時のことです。運悪く台風にまきこまれてしまいました。
波間に船をのみこみ、荒れ狂う海の上で、船員たちは、なすすべもなく、ただ海に投げ出されないよう、必死で船にしがみつくばかりでした。
何度も何度も山のような大波をかぶり、船員の誰もが、もはやこれまでか、とあきらめかけていた時です。
「そうだ、村松の虚空蔵さんだ。虚空蔵さんにお願いしよう。助かる道はそれしかない。」
誰言うとなく話がまとまり、めいめいが必死の思いで自分の髮の毛を切ると、持っていたお金をその髮で結びあわせ、はいだ船板の一枚にうちつけて海へ流しました。
「虚空蔵さん、お願いです。お助けください。」
船員たちは、暴風雨の中、波をかぶりながら、ただひたすら祈り続けました。
その願いが通じたのか、しばらくして嵐がやみ、船員たちはみな、村松の海岸へ打ち上げられて助かったのです。その後、願をかけた木片も浜へ流れつき、その木片は今でも虚空蔵尊の寺宝として残っているのだそうです。
この木片は、願掛木、霊験本、護摩木とかいわれています。

 

市町村 東海村
原文著者 染谷 萬千子
原文著者(ヨミ) ソメヤ マチコ
生年 1947年
原文著者備考 1947年茨城県ひたちなか市生まれ
茨城大学教育学部美術科卒
1973年から1999年まで約26年間朝日広告社茨城支局に勤務し、新聞広告他制作を担当。1981年から茨城の自然探訪シリーズ「ふるさとの昔ばなし」を制作。現在も継続中。余暇には、旧姓岩谷萬千子で版画・アクリル画の政策に取り組む。
1977年 日本板画院展新人賞受賞 水戸で第一回個展
1983年 水戸で第二回個展
1990年 いすゞギャラリーで「ふるさとの昔ばなし」版画展
原文著者 茨城いすゞ自動車
原文著者(ヨミ) イバラキ イスズ ジドウシャ
原文著者備考 発行
原文著者 朝日広告社茨城支局
原文著者(ヨミ) アサヒコウコクシャ イバラキシキョク
原文著者備考 企画
媒体 図書
収録資料名 ふるさとの昔ばなし
収録資料名(ヨミ) フルサト ノ ムカシバナシ
収録資料シリーズ名 茨城の自然探訪シリーズ
民話ページ P84 〜 P84
収録資料出版社 茨城いすゞ自動車
収録資料出版年月日 2000.10.31
言語 日本語
方言 標準語
備考 非売品

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