瓜ボッコの白狐
ウリ ボッコ ノ シロギツネ
原文
むかし、小さな山がいくつもあり、瓜ボッコと呼ばれるところ(現在の日立市会瀬町二丁目)がありました。その丘の一つ、お富士山のてっぺんに小さな祠があり、白狐がすんでいました。
この狐は、月に一度、山をおり、下の田をぬけて鮎川浜の白山神社におつかえをしておりました。ある晩のこと、近くの百姓夫婦が飼い犬をつれて、田の水引きにでかけました。
ところが、田のあぜ道の途中で、犬が急にほえだしたのです。いつもと違って、あまりにおびえたようすに、一体何事かと農婦が目をこらしてみると、白いものが目の前をスッとかすめていったように思えました。その直後のことです。ふりかえると、夫はひどく苦しんであぜ道にたおれこんでいるのです。
それ以来、夫は何をきいても口を開くことはなく、時々、何かにつかれたように異様な声をたてるばかりでした。困り果てた農婦は、信心しているお不動様に行って拝んでもらいました。
すると、お稲荷様があらわれてこういうのです。
「私は、瓜ボッコのお富士山にすむ狐だ。先日の夜、鮎川の白山様におつかえに出たときに、お前のところの犬に邪魔されて大切な役が果たせなかった。犬もろとも、命をうばうところだったが、日頃より信心深いお前たちのこと、それだけはゆるしてやった。これから毎月一日には、必ずお山参りをしなさい。ただし、誰にも見られぬよう早朝にな。また帰りに、山をふりかえることのないように…。これを守って十二回かかさずお参りをすれば、夫の病気は治るだろう。」それから農婦は、毎月一日にお赤飯と油あげをおそなえしてお参りを続けました。お稲荷様のお告げ通り、一年して、夫の病気はすっかり治ったということです。
市町村 | 日立市 |
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原文著者 | 染谷 萬千子 |
原文著者(ヨミ) | ソメヤ マチコ |
生年 | 1947年 |
原文著者備考 | 1947年茨城県ひたちなか市生まれ 茨城大学教育学部美術科卒 1973年から1999年まで約26年間朝日広告社茨城支局に勤務し、新聞広告他制作を担当。1981年から茨城の自然探訪シリーズ「ふるさとの昔ばなし」を制作。現在も継続中。余暇には、旧姓岩谷萬千子で版画・アクリル画の政策に取り組む。 1977年 日本板画院展新人賞受賞 水戸で第一回個展 1983年 水戸で第二回個展 1990年 いすゞギャラリーで「ふるさとの昔ばなし」版画展 |
原文著者 | 茨城いすゞ自動車 |
原文著者(ヨミ) | イバラキ イスズ ジドウシャ |
原文著者備考 | 発行 |
原文著者 | 朝日広告社茨城支局 |
原文著者(ヨミ) | アサヒコウコクシャ イバラキシキョク |
原文著者備考 | 企画 |
媒体 | 図書 |
収録資料名 | ふるさとの昔ばなし |
収録資料名(ヨミ) | フルサト ノ ムカシバナシ |
収録資料シリーズ名 | 茨城の自然探訪シリーズ |
民話ページ | P72 〜 P72 |
収録資料出版社 | 茨城いすゞ自動車 |
収録資料出版年月日 | 2000.10.31 |
言語 | 日本語 |
方言 | 標準語 |
備考 | 非売品 |