天狗和尚
テング オショウ
原文
むかし、下土師村(現在の茨城町下土師)の慈雲寺というお寺に、タイニン和尚という変わったお坊さんがおりました。
寺には、小僧もおかずに一人で住み、自由きままにくらしておりました。一本歯の高下駄をはき、二十キロ以上もあろうかという鉄棒を手に出かけることもしばしばでした。
時に、腹がへったといっては、「ちょっと飯をよばれてくるか。」と、十キロメートルもはなれた兄寺へでかけ、ふつうの人なら往復四時間以上もかかるところをあっという間に帰ってくるのです。
こんなことは朝飯前で、日本国中どこへ行っても一日で帰ってきてしまうのです。
和尚は空を飛べるのか?でも、村中の誰一人たりとも見たことがないので、はたしてそれが事実かどうかはわかりませんでした。
ある日のこと、和尚は村の子供をつれて、尾張の国、津島(現在の愛知県)の祇園祭を見物にいき、やはり一夜のうちにもどってきたのです。
村中で「和尚様は、やっぱり空を飛べるのだそうな。天狗様だろか。」と、この話でもちきりになりました。
それ以来、村の人々は、和尚を天狗の生まれ変わりと信じ、天狗和尚とよんで慕ったということです。
この他にも、祭の奉納相撲に飛び入り出場し、相手を片っぱしからなげとばしたとか、洪水の時、濁流の川を袈裟もぬらさず渡りきったといった和尚にまつわる話が残っています。
市町村 | 茨城町 |
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原文著者 | 染谷 萬千子 |
原文著者(ヨミ) | ソメヤ マチコ |
生年 | 1947年 |
原文著者備考 | 1947年茨城県ひたちなか市生まれ 茨城大学教育学部美術科卒 1973年から1999年まで約26年間朝日広告社茨城支局に勤務し、新聞広告他制作を担当。1981年から茨城の自然探訪シリーズ「ふるさとの昔ばなし」を制作。現在も継続中。余暇には、旧姓岩谷萬千子で版画・アクリル画の政策に取り組む。 1977年 日本板画院展新人賞受賞 水戸で第一回個展 1983年 水戸で第二回個展 1990年 いすゞギャラリーで「ふるさとの昔ばなし」版画展 |
原文著者 | 茨城いすゞ自動車 |
原文著者(ヨミ) | イバラキ イスズ ジドウシャ |
原文著者備考 | 発行 |
原文著者 | 朝日広告社茨城支局 |
原文著者(ヨミ) | アサヒコウコクシャ イバラキシキョク |
原文著者備考 | 企画 |
媒体 | 図書 |
収録資料名 | ふるさとの昔ばなし |
収録資料名(ヨミ) | フルサト ノ ムカシバナシ |
収録資料シリーズ名 | 茨城の自然探訪シリーズ |
民話ページ | P64 〜 P64 |
収録資料出版社 | 茨城いすゞ自動車 |
収録資料出版年月日 | 2000.10.31 |
言語 | 日本語 |
方言 | 標準語 |
備考 | 非売品 |