茨城の民話Webアーカイブ

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白鷺の赤ん坊

シラサギ ノ アカンボウ

原文

むかし、志筑村(現在の新郡千代田村志筑)のお侍が、高倉の友人宅でごちそうになり、夕暮れ時の帰り道をほろ酔い気分で歩いておりました。
八幡池近くまでくると、池にそそぐ小川のほとりで、せっせと青菜を洗っている若い女をみかけました。よくみると母親らしく、赤ん坊を抱いたまま仕事をしているのです。
お侍が思わず、「いゃー、暗くまで大変ですなぁ。」と声をかけると、女は仕事の手をとめて、お侍の方へ近づいてきたのです。
夕暮れのほの暗さにも浮いてみえるほど色の白い美しい女でした。
そして、「お侍さま、誠に申し訳ないのですが、ちょっとこの子をあずかっていただけませんか。」というのです。お侍は、こころよくひきうけ、女の腕の中から赤ん坊を抱き上げました。
すると、次の瞬間、女の姿は煙のように消えてしまったのです。
さすがのお侍も、これには肝をつぶし、酔いもさめて、そのまま一目散に我が家にかけもどりました。
血相を変えてもどった主人の様子に家族のものもびっくり…。「旦那さま、どうなさったのですか。」
「い、いま、そこで女から赤ん坊をあずかったのだが、その女が突然消えてしまったのだ。これがその赤ん坊だ…。」—みると、お侍が抱いていたのは、何と白鷺の子だったのです。
夜が明けて、お侍がきのうの場所へいってみると、そこには傷ついた白鷺が息絶えておりました。それ以来、この場所は「菜洗場」とよばれるようになったということです。

 

市町村 かすみがうら市
原文著者 染谷 萬千子
原文著者(ヨミ) ソメヤ マチコ
生年 1947年
原文著者備考 1947年茨城県ひたちなか市生まれ
茨城大学教育学部美術科卒
1973年から1999年まで約26年間朝日広告社茨城支局に勤務し、新聞広告他制作を担当。1981年から茨城の自然探訪シリーズ「ふるさとの昔ばなし」を制作。現在も継続中。余暇には、旧姓岩谷萬千子で版画・アクリル画の政策に取り組む。
1977年 日本板画院展新人賞受賞 水戸で第一回個展
1983年 水戸で第二回個展
1990年 いすゞギャラリーで「ふるさとの昔ばなし」版画展
原文著者 茨城いすゞ自動車
原文著者(ヨミ) イバラキ イスズ ジドウシャ
原文著者備考 発行
原文著者 朝日広告社茨城支局
原文著者(ヨミ) アサヒコウコクシャ イバラキシキョク
原文著者備考 企画
媒体 図書
収録資料名 ふるさとの昔ばなし
収録資料名(ヨミ) フルサト ノ ムカシバナシ
収録資料シリーズ名 茨城の自然探訪シリーズ
民話ページ P58 〜 P58
収録資料出版社 茨城いすゞ自動車
収録資料出版年月日 2000.10.31
言語 日本語
方言 標準語
備考 非売品

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