むかし、鴻巣村（現在の那珂町鴻巣）に観音堂があり、お堂には小さなお地蔵様がご本豚としてまつられておりました。村の子供たちは、このお地蔵様が大好きで。いつもお堂から出しては一緒に遊んでおりました。抱いたり、背おったり、ままごとの仲問に入れたりと、毎日楽しそうに遊んでおりました。
ところがある日、それを見た村の老人が、「こらこら、お地蔵様をそんなにそまつにあつかうもんじゃない。」と、お地蔵様をとりあげ、お堂にもどすと扉を閉めてしまいました。
子供たちが、お堂に近づかなくなり、しばらくすると、その老人は重い病気にかかり寝こんでしまいました。
誰も原因がわからず困っていると、老人の夢の中にお地蔵様があらわれ、「私は子供と遊ぶのが好きなのだ。お堂の扉を開けてくれ。」というのです。
老人は、すぐに、家族のものにお堂の扉を開けにいくようたのみました。
お地蔵様の願いがかなうと、老人の病気はうそのようになおってしまいました。
それからお堂のまわりには、またお地蔵様と仲よく遊ぶ子供たちの元気な声がひびくようになったということです。