むかし、額田のたっつぁいが、庄屋さんに「鴨汁をごちそうするから私の家まで来てくれ。」と言われ、喜んででかけていきました。
ところが、鉄砲で鴨をうった自慢話ばかりで、いつまでたっても鴨汁はでてきません。そのうえ、やっとでてきた鴨汁には、鴨はほんのおしるし程度しか入っておらず、あとは大根ばかり…。これには、たっつぁいもがっかりしましたが、黙ってごちそうになりました。
このあたりでは、鴨のことを、首が青いので青首と言っておりました。
そこで、たっつぁいは、庄屋さんに、うちのそばの池には、青首がいっばいいると話をもちかけました。それを聞いた庄屋さんは大喜び。「ぜひそこにつれていってくれ。」とたっつぁいにたのみこみました。
さっそく次の晩、庄屋さんは、鉄砲とごちそうをつめた重箱をさげて、たっつぁいの家へやってきました。たっつぁいは、まず腹ごしらえをしてから…と、ごちそうを腹いっぱい食べ、それから庄屋さんを池につれていきました。
ところが、池には、一羽の鴨の姿もありません。「おい、どこに青首がいるんだ。」と庄屋さんが聞くと、「ほら、あそこに沢山…。みごとな青首でしょう。」たっつぁいが指さしたのは、なんと青首大根の山だったそうです。