むかし、汲上（鹿島郡大洋村）の海岸に、何やらこもにくるまれた大きなものが、打ち上げられました。
村人たちは、どこかで難破した船の破片だろうと思い、片づけようと斧で割ろうとしますと、不思議なことにそれはピカリと光り出したのです。
村人たちは驚き、こもを取り除くと、中から観音様が出てきました。
村人たちは、早速観音堂をつくり、その仏像をおさめました。
観音堂は、東向きに海に向かって建てられたのですが、船が帆を上げたままいくと突然止まって動かなくなってしまうようになりました。仕方なく、観音堂を反対側の道路向きにしますと、こんどは馬が通れなくなってしまったのです。
それ以来馬を引く人は、必ず馬から降りて、観音堂を参拝してから通るようになったということです。
これは現在国道51号線沿いにある汲上の華徳院の観音堂に安置されている如意輪観世音座像にまつわるお話です。