むかし鹿島に、きんぴら金時という力持ちがおりました。ある日、唐（中国）にだいたら坊の大助という力持ちのいるうわさを耳にし、力くらべにでかけました。大助の家につくと、お婆さんがおり、大助は山へ行ったが昼には帰ってくるというのです。
そのお婆さんが、二俵の米を一度に釡で炊き、大きな椀に盛り金時にだしてくれました。
金時は目を白黒させながら、やっと食べると、うちの息子は七、八杯は食べるというのです。
金時は、これは大変、力くらべどころではないと逃げだしました。
そこへ帰ってきた大助が話を聞き海までおいかけてきて、鎖をなげ金時の舟を引よせようとするのです。金時は鎖を切って逃げましたがなんと大助は鹿島までおいかけてきたのです。
金時が松の木の上で息をひそめていると、その下の井戸まで大助はきて、井戸の水に映る金時めがけて飛びこんでしまいました。金時はしめたと上から押えつけました。大助がもがくと地震のように大地はゆれました。こうして押えてあるのが、鹿島の要石で、このため鹿島地方には昔から大地震がおきないのだといわれているのです。