茨城の民話Webアーカイブ

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屁っぴり嫁

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昔話

こっけいな人・愚かな人が登場するおはなし|結婚するおはなし|めでたしめでたしで終わるおはなし

再話文

この話は東海村真崎(現東海村村松)に住んでおられた方から聞いたお話だそうです。
むかしお嫁さんが顔を真っ青にしているので、お姑さんは「なんでそんな青い顔をしているんだい?」とお嫁さんに尋ねました。するとお嫁さんは
「オナラが出たいのに我慢していたら青くなっちゃいました。」
と答えました。するとお姑さんは
「我慢してたら病気になるから、すっきりさせちゃいなさい。思いっきりしちゃっていいから。」
と言ってあげました。
実はこのお嫁さんはたいそう大きなオナラをする人で思いっきりしちゃったら、お姑さんはそのオナラに吹き飛ばされて、屋根のはりに引っかかてぶら下がってしまいました。
お姑さんはびっくりして、「お願いだからもう屁の口を止めてー。」と叫びました。そしたらお嫁さんはオナラをやめました。するとお姑さんははりから落っこちてきました。
「こんな親不孝な嫁は家に置いとけない。実家へ返しましょう。」と暇を出されてしまいました。
お嫁さんはお姑さんに連れられて実家へ帰ることになったのですが、その道中に舟渡(ふなど)がありました。しかし舟はちょうど出たばかりで船頭さんを呼んだものの何度呼んでも戻ってこない。そしたらお嫁さんは「私が呼んでも気づいてもらえないんだったら、オナラをしたら飛んで戻ってくるんじゃないかなあ?」とお嫁さんは川にお尻を向けて、思い切りオナラをしました。すると舟がクルクルクルクルと回りながらあっという間に戻ってきました。これには船頭さんも大たまげ。お姑さんは「こんな重宝な嫁では離婚させるのはもったいない。」と思い、お嫁さんを再び連れて帰ることがしました。
その後、この家には大きなオナラをするお嫁さんがいるという評判があっという間に広がっていきました。若い衆たちは興味本位で「見に行ってみよう」ということになり、その日お嫁さんが野良仕事をしている大根畑にやってきました。するとお嫁さんは「野次馬をちょっとからかってやろう」と彼らに向けてオナラをしました。すると若い衆たちは吹き飛ばされそうになったので、慌てて大根につかまりました。すると大根は綺麗に抜けて、大助かりでした。
家には「部屋」ってものがあるでしょう。あの部屋っていうのはお嫁さんが「屁をするところ」なので、「へや」と呼ばれるようになったんだそうです。
おしまい

 

市町村 東海村
旧市町村 東海村
原文著者 本アーカイブのための書き下ろし
原文著者(ヨミ) カキオロシ
媒体 その他
収録資料名 本アーカイブのための書き下ろし
収録資料名(ヨミ) カキオロシ
収録資料出版年月日 2019
言語 JPN
方言 標準語
備考 本作品は、以下の作品を参考にして書き下ろしたものです。
参考:東海村史編さん委員会 東海村史 民俗編 東海村 1992.10 pp.897-898 第8章はなしの民俗 第2節むかし話 1嫁様屁の競演 屁っぴり嫁様(4)
   原話話者:東海村真崎 小野瀬しも

このおはなしが伝えられた地域