茨城の民話Webアーカイブ

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有明の松

アリアケ ノ マツ

伝説

原文

 旧八郷地区の瓦会から恋瀬の方に少し下って行ったところに「有明の松」という史跡がある。一般には史実とされているこの松にまつわる話が昔から言い伝えられている。
 時は皇室が南北に分かれて約60年にわたって争った南北朝時代の後半である。南朝方は劣勢で、小田城を追われた小田五郎藤綱と若犬丸は最後の攻防にこの裏手の難台山(553m)の山城(砦)に籠り、最後の抵抗を続けた。城の食糧は西側からひそかに運び上げていたため、合戦もなかなか勝負がつかず一年近くも持ちこたえていた。しかし、この食糧ルートも敵に察知されついに城は兵糧がつき城にも火が放たれた。城兵も逃げる者もあり、いよいよ最後と覚悟を決めた城主は婦女子を城から落とすことを決め、五~六名の従者をつけて婦女子は夜中に城を抜け出した。東側は敵が囲んでいたために、敵の手が薄かった西側の山をいったん登って道なき道を必死の思いで、血だらけになりながら山を下って行った。そしてやっとのことで平地に下り、一本の松のところにたどりついた。どうにか敵の姿も見えず、夜が明けるまでこの松のたもとで夜を明かしたのである。
 そして夜が明け、ようやく明るくなり始めた時になって、集まったこの婦女子たち一行は、この薄明かりにこれからの希望を見出したのである。そしてこの松を「有明の松」とよび、自分たちや氏族のこれからの希望を願ったのです。

 

市町村 石岡市
原文著者 木村 進
原文著者(ヨミ) キムラ ススム
生年 1948年
原文著者備考 昭和23年 新潟県小千谷市に生まれる
現在 茨城県石岡市在 (株)アルテック 代表
昭和49年 慶応大学工学部大学院(修士)卒
大手電機メーカで設計などに従事、定年退職後ふるさとに眠る埋もれた歴史などを掘り起こし、ブログや書籍で活動をしている。
著書に「ちいきに眠る埋もれた歴史シリーズ」がある。「ふるさと風の会」会員
原文著者 LaLa mosura
原文著者(ヨミ) ララ モスラ
原文著者備考 イラスト 現在 茨城県石岡市 在 中学生 小学6年生の11月からイラストを描き始め、絵はすべてのモノに命があり、土や水にも顔があると考えて描いている。想像の世界のキャラクターたちがカラフルに描かれた独特のイラストが評判を呼び、地元を中心に個展を数回開いている。
媒体 zine
収録資料名 石岡地方のふるさと昔話
収録資料名(ヨミ) イシオカ チホウ ノ フルサト ムカシバナシ
収録資料シリーズ名 ふるさと風の文庫
民話ページ P81 〜 P82
収録資料出版社 ふるさと”風”の会
収録資料出版年月日 2016.9.1
言語 日本語
方言 標準語
備考 ¥750
収録資料シリーズ名および収録資料出版社は、標題紙による。
奥付には「風の文庫」「地域に眠る埋もれた歴史シリーズ(別冊1)」とある。

このおはなしが伝えられた地域