無駄骨弥兵衛
ムダボネ ヤヘエ
昔話
やさしい人が登場するおはなし
原文
むかしむかし、府中に生活は貧しかったが、こころの真っ直ぐな弥兵衛という百姓が住んでいました。そして人が困っていることがあると黙っていることができず、誰にでも手助けをする律義な男でした。
あるとき、近くの村に大層嘆き悲しんでいる父子がいることを聞いた弥兵衛は、すぐにその家に出掛けていき、何が困っているかその理由を聞いたのです。最初は心を閉ざしていた父子であったが、弥兵衛のあまりにも真剣な様子にボツボツとそのわけを話しだしました。「実は、今日の夕刻までに借金の返済ができないと首を斬られてしまいます。もうお金を用意するあてもないのでこうして泣いていたのです。」というのであった。
驚いた弥兵衛は急いで家に飛んで帰り、それから頼れそうな親類や知人のところを駆け回って、やっとのことでお金を集めました。そして「何とか間に合ってくれよ」と祈るような気持ちで、弥兵衛はその父子の家に駆けつけました。しかし、その父子はすでに処刑された後だったのです。
悲しみにくれた弥兵衛は、その父と子の屍をねんごろに葬いました。しばらくしてこの弥兵衛の話はあちこちに知れ渡りました。それから村人達は弥兵衛のことを「無駄骨弥兵衛」というようになったということです。
市町村 | 石岡市 |
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原文著者 | 木村 進 |
原文著者(ヨミ) | キムラ ススム |
生年 | 1948年 |
原文著者備考 | 昭和23年 新潟県小千谷市に生まれる 現在 茨城県石岡市在 (株)アルテック 代表 昭和49年 慶応大学工学部大学院(修士)卒 大手電機メーカで設計などに従事、定年退職後ふるさとに眠る埋もれた歴史などを掘り起こし、ブログや書籍で活動をしている。 著書に「ちいきに眠る埋もれた歴史シリーズ」がある。「ふるさと風の会」会員 |
原文著者 | LaLa mosura |
原文著者(ヨミ) | ララ モスラ |
原文著者備考 | イラスト 現在 茨城県石岡市 在 中学生 小学6年生の11月からイラストを描き始め、絵はすべてのモノに命があり、土や水にも顔があると考えて描いている。想像の世界のキャラクターたちがカラフルに描かれた独特のイラストが評判を呼び、地元を中心に個展を数回開いている。 |
媒体 | zine |
収録資料名 | 石岡地方のふるさと昔話 |
収録資料名(ヨミ) | イシオカ チホウ ノ フルサト ムカシバナシ |
収録資料シリーズ名 | ふるさと風の文庫 |
民話ページ | P61 〜 P62 |
収録資料出版社 | ふるさと”風”の会 |
収録資料出版年月日 | 2016.9.1 |
言語 | 日本語 |
方言 | 標準語 |
備考 | ¥750 収録資料シリーズ名および収録資料出版社は、標題紙による。 奥付には「風の文庫」「地域に眠る埋もれた歴史シリーズ(別冊1)」とある。 |
このおはなしが伝えられた地域