茨城の民話Webアーカイブ

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明礬を買いに

ミョウバン オ カイ ニ

原文

むかし、額田(現在の那珂町額田)のたっつあいは、家の奉公人の一人に買い物を言いつけました。
「太田(現在の常陸太田市)の薬屋まで行って、明礬を買ってきておくれ。」と言うと、奉公人は「旦那様、みょうばんちゅうのはどんなものですか。何に使うものですか。」と、聞き返しました。たっつあいは、忙しかったので「店に行って明礬を下さいと言うとわかるから、とにかく急いで行って来ておくれ。」とお金を渡したのです。
奉公人は、みょうばんというものがどんなものか見当もつかないので、とりあえず、使いの品の名前だけは忘れまいと、「みょうばん、みょうばん。」とつぶやきながら、太田に向かいました。
やがて磯部の手前まで来ると、小さな川がありました。
落ちないように気をつけながら「どっこいしょ。」と飛び越えたら、すっかり忘れてしまったのです。「なんだったっけかなぁ。たしかばんがついたんだよなぁ。…ばん、…ばん、‥‥。」
思い出せないまま、とうとう店に着いてしまいました。
奉公人は、「こんばんちゅうのを売って下さい。」と言いました。
すると、薬屋の番頭さんは、けげんそうな顔をして「そんな薬、うちにはありませんなぁ。」と言うのです。
奉公人は、仕方なく手ぶらで帰ってきました。
「旦那様、薬屋の番頭さんがそんなもの、うちには無いと言うんで戻ってきました。」
「無い?、そんなはずはない。一体お前はなんと言って買いに行ったんだ。」
「こんばんを売ってくれと言ったんですが。」
「こんばんだって。明礬だよ。わしは、明礬って言っただろう。」と、たっつあいがあきれて言うと、「あっ、そうか。みょうばんか。なんだー晩違いだ。それくらいの違いなら売ってくれてもいいだろうに。」ごと答えたのだそうです。

 

市町村 那珂市
原文著者 染谷 萬千子
原文著者(ヨミ) ソメヤ マチコ
生年 1947年
原文著者備考 1947年茨城県ひたちなか市生まれ
茨城大学教育学部美術科卒
1973年から1999年まで約26年間朝日広告社茨城支局に勤務し、新聞広告他制作を担当。1981年から茨城の自然探訪シリーズ「ふるさとの昔ばなし」を制作。現在も継続中。余暇には、旧姓岩谷萬千子で版画・アクリル画の政策に取り組む。
1977年 日本板画院展新人賞受賞 水戸で第一回個展
1983年 水戸で第二回個展
1990年 いすゞギャラリーで「ふるさとの昔ばなし」版画展
原文著者 茨城いすゞ自動車
原文著者(ヨミ) イバラキ イスズ ジドウシャ
原文著者備考 発行
原文著者 朝日広告社茨城支局
原文著者(ヨミ) アサヒコウコクシャ イバラキシキョク
原文著者備考 企画
媒体 図書
収録資料名 ふるさとの昔ばなし
収録資料名(ヨミ) フルサト ノ ムカシバナシ
収録資料シリーズ名 茨城の自然探訪シリーズ
民話ページ P197 〜 P197
収録資料出版社 茨城いすゞ自動車
収録資料出版年月日 2000.10.31
言語 日本語
方言 標準語
備考 非売品

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