茨城の民話Webアーカイブ

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たっつぁいと狐

タッツアイ ト キツネ

原文

むかし額田村(現在の那珂町額田)のたっつぁいがある寒い冬の夜、人を化かす狐がでると言う池のほとりに行きました。
たっつぁいは、池から大きな鯉を釣り上げると、麻糸で結んで池にもどし、もう一方の端を自分の帯に結び、うしろ向きになってかがみました。
しばらくそうしていると、一人の若者がやってきて、たっつぁいの様子をけげんそうにうかがっているのです。
それを見たたっつぁいは、さも、今釣り上げたかのように大きな鯉を上げてみせました。
驚いた若者は、「俺にも釣り方を教えてくれ。」と、一枚の小判を差し出して頼みました。
たっつぁいは、小判を受け取ると、もったいぶって、「ここだけの話だが、実は鯉は狐の尻尾が大好物なんだ。手に入らないんで、俺のはこれだけど……。これが狐の毛だったら、十匹は釣れるだろうな。」と言い、犬の尻尾の毛を見せて、帰ってしまいました。
若者は狐の姿にもどると、(しめしめ、これで好物の鯉が食べられるぞ。)とほくそ笑みながら、尻尾を水につけ、鯉がかかるのをじっと待っておりました。
やがて、東の空が明るくなる頃には、池はすっかり厚い氷でおおわれておりました。
そろそろいいだろうと、狐は尻尾を引っ張ってみましたが、何度やっても動かないのです。
そこへ、たっつぁいが犬を連れてやって来ました。
狐は、苦手な犬から逃れようと必死で尻尾を引っ張ったので、元からちぎれてしまい、泣きながら山へ帰っていきました。
それ以来、このあたりで狐に化かされる人はいなくなったということです。

 

市町村 那珂市
原文著者 染谷 萬千子
原文著者(ヨミ) ソメヤ マチコ
生年 1947年
原文著者備考 1947年茨城県ひたちなか市生まれ
茨城大学教育学部美術科卒
1973年から1999年まで約26年間朝日広告社茨城支局に勤務し、新聞広告他制作を担当。1981年から茨城の自然探訪シリーズ「ふるさとの昔ばなし」を制作。現在も継続中。余暇には、旧姓岩谷萬千子で版画・アクリル画の政策に取り組む。
1977年 日本板画院展新人賞受賞 水戸で第一回個展
1983年 水戸で第二回個展
1990年 いすゞギャラリーで「ふるさとの昔ばなし」版画展
原文著者 茨城いすゞ自動車
原文著者(ヨミ) イバラキ イスズ ジドウシャ
原文著者備考 発行
原文著者 朝日広告社茨城支局
原文著者(ヨミ) アサヒコウコクシャ イバラキシキョク
原文著者備考 企画
媒体 図書
収録資料名 ふるさとの昔ばなし
収録資料名(ヨミ) フルサト ノ ムカシバナシ
収録資料シリーズ名 茨城の自然探訪シリーズ
民話ページ P186 〜 P186
収録資料出版社 茨城いすゞ自動車
収録資料出版年月日 2000.10.31
言語 日本語
方言 標準語
備考 非売品

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