茨城の民話Webアーカイブ

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鞍を返せ

クラ オ カエセ

原文

むかし花貫渓谷にある不動滝には滝の主がすんでいるといわれておりました。
その主の姿は、ふつうの人の目には見えなかったので、主は馬のようなものに乗っては、森の中を自由に遊びまわっていたのだそうです。
ある日、主は、お気に入りの鞍を、淵で濡らしてしまいました。そこで、大きな石の上に干して、そばで乾くまで待つことにしたのです。
静かな森の中、やわらかな陽射しをあびているうちに、主はいつの間にか眠りこんでしまいました。
たまたま、そこを魚売りの男が通りかかりました。その時、どういうわけか、主の姿は見えませんでしたが鞍だけははっきり見えていたのです。男は、石の上に、飾りのついた立派な鞍が置いてあり、まわりに誰もいないので、(これはいい。)と持ち帰ってしまったのです。
しばらくして、主が目を覚すと、大事な鞍がありません。
あわてて見まわすと、鞍を背負った男が山を降りていくのが遠くに見えました。
「おーい、そこの男、鞍を返せ。」と叫んだのですが、聞こえなかったのか、後姿がどんどん小さくなり見失ってしまいました。
それから、しばらくすると、男は原因不明の病気にかかり、寝込んでしまったのです。
困り果てた家族が、季冬師に拝んでもらうと、「ここに、立派な鞍があるはずだ。それは、滝の主のものだ。そのたたりにちがいない。」というのです。
そのお告げに、男はびっくり。すぐに家の者に、鞍を元の所獅烽高させました
。すると、たちまち、男の病気は治り、元気になったということです

 

市町村 高萩市
原文著者 染谷 萬千子
原文著者(ヨミ) ソメヤ マチコ
生年 1947年
原文著者備考 1947年茨城県ひたちなか市生まれ
茨城大学教育学部美術科卒
1973年から1999年まで約26年間朝日広告社茨城支局に勤務し、新聞広告他制作を担当。1981年から茨城の自然探訪シリーズ「ふるさとの昔ばなし」を制作。現在も継続中。余暇には、旧姓岩谷萬千子で版画・アクリル画の政策に取り組む。
1977年 日本板画院展新人賞受賞 水戸で第一回個展
1983年 水戸で第二回個展
1990年 いすゞギャラリーで「ふるさとの昔ばなし」版画展
原文著者 茨城いすゞ自動車
原文著者(ヨミ) イバラキ イスズ ジドウシャ
原文著者備考 発行
原文著者 朝日広告社茨城支局
原文著者(ヨミ) アサヒコウコクシャ イバラキシキョク
原文著者備考 企画
媒体 図書
収録資料名 ふるさとの昔ばなし
収録資料名(ヨミ) フルサト ノ ムカシバナシ
収録資料シリーズ名 茨城の自然探訪シリーズ
民話ページ P151 〜 P151
収録資料出版社 茨城いすゞ自動車
収録資料出版年月日 2000.10.31
言語 日本語
方言 標準語
備考 非売品

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