今から一五〇年ほど前の天保年間のこと、谷田部城下では、干ばつで米がとれず、不作の年が続いたことがありました。
そのため、谷田部藩では年貢米が思うように集まらず、ほとほと困りはて、農政家として有名であった二宮尊徳（通称金次郎）を招いて指導をあおぐことにしたのです。
尊徳は、城下をひととおり見回ると、松野木村の池（現在の洞峰沼）から小野崎村の水田へ、水をひくための用水堀をつくるよう指図しました。この工事には、多くの村人がかり出され、やっと用水堀は完成したのですが、測量の間違いからか、あるいは地形に問題があったのか、水は通りませんでした。
村人たちは、この堀を「尊徳の空堀」とか「尊徳の馬鹿堀」と呼んでムダをなげいたということです。
その後、別の用水堀がつくられましたが、馬鹿堀は最近まで水のないまま放っておかれたということです。