茨城の民話Webアーカイブ

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納豆

ナットウ

原文

むかし、額田(現在の那珂町額田)に、たっつぁいというちくぬき(ほらふき・うそつき)の名人がおりました。
たっつぁいのちくには、水戸の殿様でさえころりとだまされ、馬を一頭とりあげられてしまったほどでした。
ある日、たっつぁいは、その馬を引いて力仕事にでかけました。夏の暑い盛りで、青草だけ食べさせていては馬も元気がでないだろうと、大豆を煮て、わらづとにつめたものを馬の背にのせてもっていきました。
しばらくして、お昼休みにしようと、たっつぁいが自分のにぎりめしを出してみると、暑さでくさりかけているではありませんか。
ひょっとしたらと思い、馬の背中のわらづとをあけてみると、これも糸をひいてべたべたになっていました。
「これじゃ、馬にも食わせられねぇな。」とがっかりして放り出すと、馬はわらごとその豆を食べ始めたのです。「こら、こら、やめろ。」ととめるにはとめたのですが、馬はおいしそうに食べているのです。不思議に思って匂いをかいでみたら何とも良い匂いがします。
今度は、おそるおそる一粒食べてみると、味もなかなかのもので、「こりゃあ、うめえ。馬にゃもったいねぇ。」とたっつぁいは残りを全部食べてしまいました。
家に帰ると、さっそく同じように作って村人に食べさせてみると、これがやはり好評で、それではとみんなに作り方を教えてやりました。
「ところでこりゃ、何ていう名前にしたらいいのかね。」
「そうよな。わらづとに豆を納れて作ったんだから納豆ってのはどうかな。」
そんなことで納豆と名づけられたという話が残っています。

 

市町村 那珂市
原文著者 染谷 萬千子
原文著者(ヨミ) ソメヤ マチコ
生年 1947年
原文著者備考 1947年茨城県ひたちなか市生まれ
茨城大学教育学部美術科卒
1973年から1999年まで約26年間朝日広告社茨城支局に勤務し、新聞広告他制作を担当。1981年から茨城の自然探訪シリーズ「ふるさとの昔ばなし」を制作。現在も継続中。余暇には、旧姓岩谷萬千子で版画・アクリル画の政策に取り組む。
1977年 日本板画院展新人賞受賞 水戸で第一回個展
1983年 水戸で第二回個展
1990年 いすゞギャラリーで「ふるさとの昔ばなし」版画展
原文著者 茨城いすゞ自動車
原文著者(ヨミ) イバラキ イスズ ジドウシャ
原文著者備考 発行
原文著者 朝日広告社茨城支局
原文著者(ヨミ) アサヒコウコクシャ イバラキシキョク
原文著者備考 企画
媒体 図書
収録資料名 ふるさとの昔ばなし
収録資料名(ヨミ) フルサト ノ ムカシバナシ
収録資料シリーズ名 茨城の自然探訪シリーズ
民話ページ P76 〜 P76
収録資料出版社 茨城いすゞ自動車
収録資料出版年月日 2000.10.31
言語 日本語
方言 標準語
備考 非売品

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