茨城の民話Webアーカイブ

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越前へひとっ飛び

エチゼン エ ヒトットビ

原文

むかし、越前国(現在の福井県)から、大子の山に仕事にきていたうるし掻きの若者がおりました。
うるし掻きとは、各地の山々を歩いて、塗りものに使ううるしの汁を集めるのが仕事でした。
彼は長いこと故郷をはなれておりましたので、国に残してきた年老いた両親のことがいつも気がかりでなりませんでした。ある日、ぼんやりと考えごとをしながら仕事をしていますと、突然目の前に、ひげをはやした鼻の高い老人があらわれ、声をかけてきたのです。
「お前は何をぼんやりとしているのだ。何か心配ごとでもあるのか。」「わたしは、越前国のものですが、しばらく故郷に帰っていないのです。国に残してきた両親がどうしているか心配なのです。」「そうか、それでは故郷に帰りたいだろうなあ。では、私の背中につかまりなさい。ただし、絶対目をあけてはならんぞ。」若者は黙って老人の言う通りにしました。すると、身休がフワッと浮いたような気がしました。
しばらく目をつぶっていると、いきなりドスンと地面に投げ出され、驚いてあたりを見まわすと、何と、目の前にあるのは、なつかしいわが家ではありませんか……。さらに不思議なことに、どこにもあの老人の姿がないのです。若者が、わが家にかけもどると、彼の両親も予期せぬできごとに大そう喜びました。そして、息子の話を聞いた両親は、「それは天狗さまに違いない。ありがたい。ありがたい。」と、大子の方に向って手をあわせたということです。袋田の滝の上の天狗岩は、天狗の展望台と言われ、このあたりには、天狗にまつわる話がいくつも残っています。

 

市町村 大子町
原文著者 染谷 萬千子
原文著者(ヨミ) ソメヤ マチコ
生年 1947年
原文著者備考 1947年茨城県ひたちなか市生まれ
茨城大学教育学部美術科卒
1973年から1999年まで約26年間朝日広告社茨城支局に勤務し、新聞広告他制作を担当。1981年から茨城の自然探訪シリーズ「ふるさとの昔ばなし」を制作。現在も継続中。余暇には、旧姓岩谷萬千子で版画・アクリル画の政策に取り組む。
1977年 日本板画院展新人賞受賞 水戸で第一回個展
1983年 水戸で第二回個展
1990年 いすゞギャラリーで「ふるさとの昔ばなし」版画展
原文著者 茨城いすゞ自動車
原文著者(ヨミ) イバラキ イスズ ジドウシャ
原文著者備考 発行
原文著者 朝日広告社茨城支局
原文著者(ヨミ) アサヒコウコクシャ イバラキシキョク
原文著者備考 企画
媒体 図書
収録資料名 ふるさとの昔ばなし
収録資料名(ヨミ) フルサト ノ ムカシバナシ
収録資料シリーズ名 茨城の自然探訪シリーズ
民話ページ P40 〜 P40
収録資料出版社 茨城いすゞ自動車
収録資料出版年月日 2000.10.31
言語 日本語
方言 標準語
備考 非売品

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